自由な教育を求めて、地方へ移住!【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル①】

Choice

自由な教育を求め“子育て移住”したリクルート卒ファミリー

名前
藤原佳奈
家族
4人家族(14歳の女の子と10歳の男の子)
所在地
山梨県
URL
藤原佳奈さんインスタグラム

誰も予想していなかった、新型コロナウィルスの流行。「Afterコロナ」や「Withコロナ」という概念も生まれ、私たちの生活様式が「Beforeコロナ」に戻ることは、もうなさそうです。最も大きな変化の一つは、テレワークの急激な浸透。多くの企業が、「Afterコロナ」でも日常的なテレワークの継続を表明しています。オフィスに仕事が行く機会が減り、これに伴う動きが都市一局集中型のライフスタイルからの脱却。高い家賃を払って都心に住む必要も、郊外の一戸建てから毎日満員電車に揺られる苦労も、もしかして必要なくなるのかも......。そこで注目を集めているのが、地方移住なのですが、子育て世代にとって、田舎暮らしのネックとなるのが「教育の質」。そこで、ブライトチョイスでは、"自由な教育"を求めて都心から山梨に移住した藤原さん一家を取材。"子育て移住"と自由教育のリアルを5回連載でお送りします。

 東京から山梨へと移住したのは、今から約8年前、長女が小学校に上がるタイミングでした。藤原佳奈さんは当時をこう振り返ります。
「移住前に住んでいた都心の街は、低学年から塾に通い、中学校受験をする子が多い地域でした。でも、共に地方出身でのんびり育った私たちは、受験前提の早期教育よりも、本人のペースを大切にできる環境や、心が動く体験を重視する"体験型教育"に惹かれていたんです。そして、娘が保育園を転園した時の園側の残念な対応で、都心の公教育に不安を抱いたことも、東京を離れるきっかけになりました。もともと自由な教育を受けさせたかったこと、娘がゴーイングマイウェイなタイプで、重いアレルギーも持っていることなども含め、私たちには地方での子育てが合いそうだと感じたんです」

さっそく藤原さんは、体験型教育の学校を見学して回ります。計らずも夫が独立・起業したことで、移住が一気に現実味を帯び始めます。移住の半年前には藤原さんも会社をやめてフリーランスとなり、子育て移住の準備を進めました。
モンテッソーリ教育やシュタイナー教育なども含め、体験を重視する学校を見学するなか、『きのくに子どもの村学園』が候補に上がりました。"人間関係の自由""感情的自由""知性の自由"を教育目標に掲げる学校です。子どもの自主性を育てる体験型授業をベースにしながらも文科省認可の私立学校であることも決め手になり、学園が運営する学校の中でも立地の都合のよい『南アルプス子どもの村小・中学校』に決めました。見学に行った時、娘が体験型の授業をとても気に入ったのも大きかったですね。中学3年生になった今も、『家が一番好き、学校が二番目』、と地方ライフもスクールライフも、めいっぱい楽しんでくれています」

さて、移住ライフと自由な教育スタイルは、子どもの成長にどう影響したのでしょうか。次回記事では、「南アルプス子どもの村小学校・中学校」でのリアルな生活をお送りします。

〈連載概要〉
第1回: 自由な教育を求めて、地方へ移住!【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル①】(本記事)
第2回: 南アルプス子どもの村小学校の自然体験で"じぶん100%"の子育て【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル②】
第3回:「宿題ナシ」「塾ナシ」でも大丈夫!?【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル③】
第4回: オルタナティブ教育を選んだ親の覚悟【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル④】
第5回: 10歳の息子はライフスキル高め!【"子育て移住"と自由教育の理想とリアル⑤】

       
  • 『脳がよろこぶ話 幸せを見つける五つの対話』茂木健一郎 (著) 

  • 子どもの村のミーティング風景

  • 「ものすごくよい」という兄弟仲

          
  • 自然と調和した素敵スポットがたくさん

  • 毎夏、大勢で訪れる甲府の“秘境”

  • 薪ストーブを中心とした自宅リビング

  • 「私自身、管理型教育の学校が苦手だった」という藤原さん。“ノイズのない環境で集中するフローな時間が子どもを育てる”というモンテッソーリの考え方や、“幼少期に心が喜ぶ体験をすることで脳が活性化する”と説く脳科学の本(写真)も、“子育て移住”と自由教育を選択する後押しに。

  • 「自己決定」を重んじる子どもの村では、週1回の全校ミーティングのほかに、クラスや寮でもたくさんのミーティングがあります。クラスで起きた問題解決法やプロジェクトの内容などもみんなで話し合って決めます。採決では子どもも大人(子どもの村では先生をこう呼ぶ)も同じ“一票”です。

  • 「自由」を大切にする子どもの村では、じぶんの自由と同じように他人の自由を尊重する重要性を学びます。そのおかげで、同じ学校に通う4歳下の弟とは、自宅での喧嘩もなくなりました。対立したときにはなぜそう思うのかをお互いに話し合い、解決策を導き出すのだそう。大人よりスゴイ!

  • 近所には古民家を使ったカフェやレストランなど、空間も料理も魅力的なお店が多く、8年たった今も新たな発見が。お気に入りは「おちゃのじかん」(写真)という里山カフェ。毎週通っている自宅から3分の市民温泉や、よくピクニックに行く「ドラゴンパーク」など、大好きな場所がたくさん!

  • 甲府の山奥にある標高1200mの秘境スポット、黒平(くろべら)に一泊するのが夏の恒例行事に。学校のお友達の親子、総勢約40人が集まり、流しそうめん、川遊び、BBQ、花火、焚き火などの自然体験を楽しみます。子どもが成長したあとも、親だけで集まろうと話しているそう。

  • 娘さんが“一番好きな場所”というご自宅は、ご夫婦のアイディアを宮大工さんが設計・建築したという木のおうち。なるべく自然素材を使い、環境にも人にもやさしい「経年“優”化」する家を目指したそう。素敵なおうちの様子は、今後の記事で詳しくご紹介します。