夏休みこそ親子で田舎暮らし体験のススメ! 古民家に泊まってみよう!

Choice

キャンプインストラクター、ヒャクタロウのアウトドア育児

名前
ヒャクタロウ / Hyakutaro
家族
4人(妻、8歳の男の子、3歳の女の子)
所在地
福岡県
お仕事
キャンプインストラクター
URL
hyakutaro_Instagram
URL1
原点回帰オフィシャル

キャンプインストラクター、ヒャクタロウのアウトドア育児

田舎暮らし、スローライフ、、、。

そのような言葉は、ここ10年、特によく聞かれるようになってきましたよね。
僕も漠然と憧れていました。

でも、なかなか実現しません。この時代に田舎暮らしなんてめちゃめちゃハードルが高い!
そもそも本当の田舎なんて、遠くて行くこともできない。

そんなこんなで悶々としていたのですが、昨年急に思い立ったかのように、親子で古民家暮らし体験にハマっていきました。

今回はそんな古民家暮らしのメリット、デメリットを書きたいと思います。

その前に、良い古民家の定義を僕なりに決めました。
(古民家の定義は一般的に定義づけられていません)

1. 築100年以上経過して、柱や梁を骨組みとして建てられた木造民家であること。
2. 今日まで人が絶えず住み続けていること。
3. 飲水は井戸水もしくは湧水であること。
4. 人里離れた場所にあること。
5. 宿泊できるように整備されていること。
以上5つです。

なぜかって?

それは100年前ってまだ江戸時代、明治時代の影響が色濃く残る大正時代です。現代の建売住宅の寿命が25年〜30年(*建築基準法に基づく場合)とされているなかで、100年間持続しているということは、その地域に大きな自然災害がなかったか、災害を経て耐久性があるということの証明です。そして、今もなお人が住み続けているということは、先人たちの知恵が詰まっている家屋であり、その人たちの常在菌が、何億何千億と生き続けていることにもなります。

昨今の高機密高断熱+新建材+24時間換気+オール電化+化学物質による防虫・防カビ・無菌という暮らしの対極にありますね。

水も大事です。水道は断裂したら終わりですが、古民家住宅では水の確保がとても重要な位置付けで、持続可能性に満ちた水確保の構造になっています。無論、湧水はとても美味しいですし!

この5つの条件を満たす場所は日本全国にはまだまだたくさんあって、それが農泊とか古民家泊とかの名前で登録されて宿泊施設になっていたりするんです。

それらを順々に宿泊体験してみると、本当に面白いんです。ただ宿泊するだけで100とは言わないまでもめちゃめちゃ発見があります!

特に印象深い古民家があります。

京都の京北にある古民家ほろろんです。
門を潜ると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような、茅葺き屋根の古民家が佇んでいます。
なんと言っても先人の知恵が詰まった昔ながらの囲炉裏が目をひきます。

それに、びっくり!
ここで料理を全部するんです。もちろん宿泊する僕たち親子もご主人たちと一緒に料理をします。
自家製米と、庭のお野菜で作る料理はどれも新鮮で美味しいんです。


鶏を子どもたちと一緒に1羽を絞めて捌いて丸ごと命をいただくという、食育にも通ずる貴重な体験です。
子どもたちも、鶏が死んでいく様をみて、悲しそうな顔をして、手を合わせて感謝しながら食べて自分の体の一部になっていくことを学んでいるようでした。


そしてここの囲炉裏がまた豪華で素晴らしいんです。
薪をくべて炎が煌々と輝く中で座って料理して、食べて飲んで話します。


人里離れていますから、車の音も聞こえず、キャンプの焚き火とは違った、家の中で焚き火をしているような不思議な体験です。そこでご主人がその土地の歴史を話してくださり、今は失った日本の大切な文化を子どもたちに教えてくれます。


100年前の古民家ですから当然ガスコンロも、電気もありません。
囲炉裏はその家の中心にあり、コミュニケーションの場だと言います。
炎をぐるりと囲む座り方は、誰しも炎を見ることが出来て、対面の顔も見えます。炉端が食事のテーブル代わりにもなって、大鍋が中心にあって、周りにはお魚やお肉、お餅が焼かれて汁物も食べられます。
こうやって日本人は縄文の昔から連綿と行われていた食の形態で家族の距離が常に近く保たれていたんですね!
現代ではデジタル化が進み、テレビやスマホなどに目が行き、相手の目を見る本当のコミュニケーションが失われつつあります。
囲炉裏を囲むと、親子の挙動や会話、心が通った食事になるんだなあ。
そう思えたんですよね。


お風呂は五右衛門風呂でした!
子どもたちと一緒に山から薪を集めてきて、竹の火吹き棒で火を起こしていきます。
火を起こすのはさすがに我が家のキャンプでは日常茶飯事なので、ささっと息子が喜んでしてくれます。
スイッチ一つでお風呂の湯が張る現代とはまるで逆ですね。
お風呂入るにもひと苦労です。
でも、つい100年前までは毎日どこでもこれをしていました。
そうやって日本人は肺活量や足腰が鍛えられていったと思います。


また古民家は風通しが良く通るように設計されていますね。夏も冬もエアコンが要らないようになっている訳です。
その代わり、埃や灰なんかがすぐに溜まります。
だからこそ箒掃除や水拭き掃除も日常茶飯事。
またここで日々掃除をすることで足腰が鍛えられるんですね。ジムなんて行かなくったって、古民家で暮らすだけで身体が自然と鍛えられていくんでしょうね。


日本の古民家、凄過ぎ!!!


そんなこんなで素敵な古民家暮らし体験。
我が家ではキャンプ以外の旅行は、なるべく古民家にしようと奥さんとも話しました。
奥さんも「いいね!」と快諾!

他にもいろんな古民家に行きました。
愛媛県で真珠養殖を営む漁専門の古民家。
京都の美山にあるジビエ猟を専門とする農家。
日本初の農家民宿を始めた大分県のお婆ちゃんの宿。
ほんと日本全国に点在しています。
どれもとっても素敵な古民家で愛情に溢れ返っているんです。

最近は海外からの宿泊客が多いそうですが、是非とも、現代に生きる日本人に知って欲しい!
体験して欲しい!
そんな田舎の古民家暮らし体験のオススメでした!

あ、デメリットを書き忘れていましたね!
・虫がいっぱい住んでます。
・場所が遠い。探せば普通に車で4、5時間はかかる場所にあることが多いです。
・清潔感はありますが苔や藻、そんな植物がいっぱい生えてます。
・宿主との共同生活になるので、トイレもお風呂も一緒になります。
それぐらいかなあ。

でも、そのデメリットを凌駕するほどの価値が多分にあるのが古民家宿泊体験。
是非、皆さんも日本の古き良き先人たちの暮らしを体験してみませんか~?


〈ヒャクタロウさん連載〉
キャンプインストラクター、ヒャクタロウのアウトドア育児

       
  • 古民家近辺を家族で散策

  • おすすめ古民家のひとつ、京都の農家民宿ほろろん

  • 囲炉裏の火おこし

          
  • 大分の古民家宿泊時の野菜の収穫

  • これが本当のかまど炊き!

  • 里山を眺めながら過ごす古民家滞在

  • 立派な茅葺き屋根の古民家、ほろろんが見えますか? 里山の風景を楽しみながら家族で散歩。

  • この立派な門構え!築推定220年とも言われる古民家での宿泊体験は、親子で楽しめます。

  • ほろろんは、入り口そばに囲炉裏があり、そこで宿泊者もご主人たちと一緒に料理をします。息子はキャンプで火おこしに慣れているので、お手伝いもお手のものでした。

  • これは大分の古民家へ泊まった時のこと。自家菜園や畑のある古民家では、野菜が収穫できる季節は一緒に野菜を収穫して料理に使います。この日はミニトマト、苦瓜、ナスなどが採れました!

  • 古民家ですから当然炊飯器なんてありません。立派なかまどがまだ現役で使われており、そこでご飯を炊くのです。

  • 人里離れた場所なので、広がるのは田園と里山の風景のみです。でもそれが最高の贅沢。昔からこの土地で暮らしてきた人々の営みが今も受け継がれているのが感じられます。