思春期の親子関係の不思議。子どもを尊敬する子育てが生きてきて

Choice

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

名前
佐久間麗安 / Rena Sakuma
家族
4人 (11歳男の子と9歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
Bright Choice編集長
URL
Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

思春期の息子が、「は~」っとため息をつくのは、私が小言をいった後によくあること。
母親の話を「一旦聞いてやるか」、とでもいうかのような無言のサインに、私は心の中で、「悪かった」と思うのです。

それは、言葉尻に囚われない、親子関係の不思議。
息子が反抗せず、親子喧嘩にならない程度に不快感を見せて上手くいなせるのは、「ママに一目おかれている」ということを知っているからかもしれません。

そう、いつからか、私は彼の生き方を尊敬するようになりました。また、子育てにおける私の役割は、守ることから帆走へ、そして帆走から後援へ、ステップダウンすることをイメージしています。本来は、頑張る彼の背中を見守りながらエールをかけるくらいがいいのに、つい上から目線の母の小言が出る。

子どもをもつ親なら、
「子どもは勝手に育つ」という言葉について、「なわけない」、と思いませんか?

思春期の子どもを持つ親なら、
"干渉しない・・"、"いいたいことはぐっと我慢して・・"、"距離を置いて見守って・・"、"でも、放任はダメ!?"
「一体、どうやって実践するのだ?」と、思いませんか 笑?

思春期になって"ある程度" 親の手から離れた子どもは、自分で生きようと挑戦を始めます。そんな子どもを見て、「何考えているのかわからないの、家ではずっと部屋に籠って何してるんだか」と、親はいう。

親も一緒だったお誕生日会やプレイデートは、いつの間にか、子どもだけの時間になる。
いまの時代は、フォートナイトやSNSなど、いつでもどこでもデジタルなコミュニティで繋がることができる。
インスタグラム(親の管理下で)を始めて、自分をイメージしながら自分像を創り出し、デジタルな世界観を通して自分の人生を思い描いてみる。
そこには、"子どもだけの世界"が確かに広がりつつあります。

思春期とは、親にとっては、不可解で心配の煽られる時期であるけれど、子どもにとっては、"自分だけの人生"のスタート地点なのかもしれません。

同時に、親子関係にとってとても脆弱な期間でもある、思春期。科学的にいえば、記憶・理解・思考・情操をつかさどる脳の前頭前野は、20歳すぎでようやく完成するといいますから、思春期の子どもが無鉄砲でトンチンカンなことをして親を怒らせるのは至極当然のこと。ましてや、未成熟な脳にドーパミンが満ち溢れるから、欲求のコントロールもままならない。"ある程度"自立した思春期の子どものトンチンカンは、親にしてみればたちが悪いのです。

「私はあなたを尊敬している」
東京選抜ジュニア大会を控える息子が、別人のように冴えない練習をしていたときのこと。これぞ、親が「干渉しないなんて無理」と思える瞬間に、息子にまず伝えた、私なりの叱咤激励です。よくある息子のトンチンカン、今回は、大会を意識するあまり、自分のテニスができなくなってしまったなんて弱音をいう。それでも私は、彼のその未熟さゆえに努力を辞めない粗削りな生き方を、「私にはできない生き方」だと、心から尊敬しています。未完成の彼が挑戦し、成長する過程そのものを愛し、日々驚かされるのです。

子育ての専門家に「干渉するな」と言われても、親には「いわねばならないことがある」。そういう、個別具体的な瞬間があります。また子どもも、上手く情操をコントロールできないとき、本当は、心の底で誰かの助けを必要としています。思春期とはまさに、親子関係のあり方が問われるとき。

解は一つではないけれど、そんなとき私は、「反省はさせても、"後悔"させない」ことを意識してみる。
息子は中学受験をしない、と決めました。(前回コラム「中学受験をしない。思春期の子どもの心を支えた『雑談の時間』」より)そうであれば、大切なゴールデンエイジに後悔だけはさせたくない。

心が未熟な子どもに、「後悔」をさせることはとても酷なこと。その後の人生の歩みに、大きな弊害になりかねませんから。昨今ニュースで思春期の子どもに関わる残酷な事象を目にして、そう感じています。

親が子どもの自我を守るには、どうしても、思春期の子どもに親の言葉に耳を傾けてもらわないとなりません。
この思春期子育ての難題を乗り越えるには、親子関係が「対等」であり、子どもが「親に尊重されている」と思える必要がある。いいかえれば、子どものトンチンカンも親の小言も同じであるということであり、"子どものことを心から尊敬できる子育てをしてきた"ということ。

また、人生における反省も失敗も、リスクある決断も、そもそも子どもに自分の意見がないと、その子を大成させる経験になりません。「喧嘩は強くないけど、誰よりも優しい」、「かけっこが得意」、「負けん気が強い」、「周りを元気にするような明るい笑顔を持っている」、「熱中できることがある」・・
尊敬するポイントはなんでもよい。親は、人生の主役である子どもにスポットライトを当ててあげて、思春期にディレクションをバトンタッチできる準備をしたいものです。

自分の人生を自分事として捉え、自分でディレクションをできる能力は、思春期から本格的に育てる必要があると感じています。それは、学校の教育にはない、子どもの自尊心を育てるという、親にしかできないミッション。

幼小期から自己肯定感を高めることが大切であるといわれる理由は、子どもが"自分だけの人生の創り手"になるため。流動的で多様な個性がぶつかり合う今後の社会では、なくてはならないライフスキルです。

子育ての過程でいえば、人生の第一歩を踏み出す思春期という時期に、親がまずすべきは、子どもの生き方を一番に尊重すること。それが、「干渉しないけど放任しない」、「反省させても後悔はさせない」という、一見捉えどころのない、不思議な親子関係を築いてくれるのかもしれません。

それにしても、いつになれば「子どもは勝手に育つ」と、親も安堵して見守ることができるようになれるのでしょう?

まだまだ思春期子育ての冒険は続きます。

〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

       
  • 思春期男子の遊び方

  • 『弱いメンタルに劇的にきく、アスリートの言葉』 鈴⽊颯人著

  • 年下に好かれる、優しい性分

          
  • 車で送迎の日々

  • 車中のお弁当

  • たまには弱音もはかせてあげる

  • ドバイにサッカー留学した友人と、最後のお別れ会は、お台場のBRAVE POINTへ。とっても楽しそうでした。

  • 自我が不安定な思春期。反発して、逃げたくなってしまうことも多い時期。忍耐力や乗り越えることの大切さも経験してほしいと、思わずポチ買いした一冊。

  • 最近、テニスアカデミーを移籍しました。前のアカデミーでの最終日。辞めると知って泣かれてしまったくらい、年下の子に好かれていました。コーチには覇気がないといわれるけど、親はこの優しさは認めてあげたい。テニスで強くなりたい目標との矛盾。

  • 毎日お迎えに行けるのは、子どもの人生をリスペクトしているから。子育ての目標は、「親もうらやむ人生を歩ませる」こと。車の走行距離がすごいことになっています・・。

  • 平日は夜遅くまで練習なので、夕飯は車中でお弁当。帰宅して大急ぎでお風呂、歯磨き、就寝!

  • 辛いときは寄り添って、甘えさせてあげるのも大切ですね。親はずっと子どもの心の拠り所であってあげたいものです。