思春期こそ愛して甘えさせて 子どもは愛すべき「弱気なヒーロー」

Choice

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

名前
佐久間麗安 / Rena Sakuma
家族
家族:4人 (12歳男の子と10歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
Bright Choice編集長
URL
Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

「もって生まれた人間としての可能性を十分に開花させるには、愛が必要」なのだ。

愛なしには生きられないほど、ぼくたち人間は弱く、またもろい存在にすぎない。でも、ぼくは違う。その方が、愛なしに生きられる強い存在として生まれてくるよりはずっとよかった、と。きみはどう思う?

―― 『弱虫でいいんだよ』 (辻 信一著/ちくまプリマ―新書)

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ボーディングスクール受験生の12歳息子。
あと2年で親元離れるという思春期の時期に、育ててあげたいのは自立心です。そのために、いまわたしが一番に心掛けているのは、ママ13年目にもなって今更ではありますが、「愛情表現」です。

たしかに、思春期にもなれば、自分でできることが増えます。でも、自分でできることが増えたからこそ、思春期特有の「弱気」が露呈することもあるように感じられる今日この頃。学校や同級生界隈ではこんなことを聞くようになりました。

学校に呼び出された、
授業をサボった、学校がつまらない、
朝からけだるそうにしている、
生意気なものいいに、親子喧嘩になる、
などなど。

先日は、我が家でも、思春期まっただ中の息子とひと悶着。
「ママはぼくの話を聞いてくれない!」
あることをきっかけに始まった親子喧嘩で、息子にいわれたことでした。

子どもを「大人の期待」という型にはめたくない。
中学受験も強要せず、ボーディングスクールを受験したいと決めるまでは見守っていました。これまで、息子のやりたいことには、耳を傾けてきたつもりでした。「話を聞いてくれない」とはどういうことか?(2022/1/5コラム「中学受験をしない。思春期の子どもの心を支えた『雑談の時間』」

よくよく話を聞くと、それは「"弱音"を聞いてくれない」、ということだそうです。

頑張っても、上手くいかないときがある
宿題に追われて嫌になる日もある
日常がなんだかダルくなる
とにかくイライラすることがある
(ホルモンの影響!?)

「型にはめたくない」とはいうものの、最初は親がいろいろ選んでやるしかありません。
子どもにしてみたら、物心ついたら親の選んだ学校に通っていて、勉強して、習い事をして、塾に通って・・思春期にもなれば、そんな日常に 「?」 と思うのでしょう。

「親に敷かれたレールを生きてきたけれど、これからは?」
「わたしは、どうやって生きていったらいい?」

思春期トラブルは、半ば自立した子どもの、親や世間に対する疑問や不安や不満といった、「弱気」の現れだと思うのです。

思春期トラブルは、親には反発心のように見えるものだから、
「甘えるんじゃない」
といって、子どもを正そうとしたくなる。
あるいは、「思春期だから仕方がない」と放任したくもなります。

そうして、親子が上手くかみ合わなくなってきたとき、子どもの笑顔が少なくなっていませんか?
そんなとき、子どもは「弱気」な部分を抱えていて、本当は甘えたくて仕方ないのではないでしょうか。

わたしは息子との親子喧嘩でそんな「弱気」に気がついてから、息子の心のすき間を見つけては愛情表現するように意識したんです。
自分から甘えてこないのであれば、甘える機会を作ってあげようと。
おやすみのキス、
「大好きよ」の一言、
ニキビのできそうなおでこに、ローションをぬって肌に触れてやる。

12歳の男の子にしてみたら、はずかしいことなのは、百も承知。でも、イライラをぶつけられた日だって、愛を伝えて一日を終えてみる。そうしたら、日常に笑顔が増えたような気がします。

なかでも、一番愛を伝えなくてはならないのは、子どもが「弱気」なとき。
先日、頑張っても上手くいかなかったことがあって、黙り込んでいた息子をぎゅっとハグしてやったときのこと。いつも無口な息子が、堰を切ったようにおいおいと泣いたのです。
どうしようもない悔しさが、息子の心の中で波風を立てていたのですね。本当は、甘えたかったのです。

決して表情に出してくれない、思春期特有の「弱気」な感情には、親が気づいてあげないとならないのだと思えた出来事でした。

実はその日、息子はどうしても勝ちたかった試合で負けました。
でも次の日、彼は別の試合で優勝することができました。

子どもは、親に甘えて「弱気」を解放することで、強くなるのだと感じました。

世間にどう見られようとも、わたしたちは、「等身大の自分」を愛せるようになってはじめて、外界の景色がくっきりと見えてきて、「大丈夫、なんとかなる」、と思えるものですから。

自立心は、「甘える」ことで育つといいますが、親の無条件の愛情こそ、子どもの健やかな心(=自己肯定感)の糧なのだと思います。

気を付けなくてはならないのは、物質的に「甘やかす」ことで、「甘える」機会(=自立の機会)を失ってしまう危険。社会はわたしたちの幼小の頃よりも物質的にずっと豊かになり、子どもに与えられるものも増えました。経済活動が人間社会の生活基盤ですから、仕事に家事に忙しいわたしたちですが、学校、習い事など、物質的なものや条件を与えただけでは、子どもは強くなれないということを、親として忘れないでやりたいものです。

優しくてちょっと不器用だけれど、だからこそみんなに愛される息子の人生は、たくさんの可能性に満ち溢れていると思えます。

そう、子どもはみんな、わたしたちにとって「弱気なヒーロー」。

大人になるまでもうあと何年?自立していく大切なこの時期こそ、たくさん愛して、たくさん甘えさせて。
そうして子どもは温かい土壌に自立心の根を生やして、自分を愛し、他人を愛し、自分の生きる世界を愛して、強くなっていくのでしょう。

あなたの愛すべきヒーローは、いまどんな弱気があって、どんな可能性を秘めていますか?

〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

       
  • アメリカのボーディングスクール見学

  • SSATの試験勉強

  • 東京開催のボーディングスクールフェアへ

          
  • 思春期の読書

  • 6の息子は昨年、日本の中学受験をしないと決めて、その数か月後、海外のボーディングスクールを受験したいといいました。今年はアメリカのニューイングランドのボーディングスクールを何校か見学しました。

  • アメリカから帰国後、これまで乗り気になれなかったボキャブラリーの勉強に励むようになりました。毎朝、朝食前にコツコツ勉強しています。

  • 秋は海外ボーディングスクールの入試担当がアジアにもツアーをしています。東京で開催されたボーディングスクールフェアでは、自分から積極的に知りたいことを質問していました。

  • 息子の通うインターナショナルスクールは、英語も日本語も読書をたくさんさせてくれます。最近まで読んでいたのは『西の魔女が死んだ』(梨木 香歩著/新潮文庫)。いわゆる思春期の子ども向けの良書を好んで読むようになりました。

  • まだ12歳ですが、先日14歳以下の大会で優勝することができました。この前日の悔しい負けを喫して、自力で勝ち抜いた彼の強さに驚かされました。