ドバイ旅行で世界が広がる!子どもが幸せを掴む海外留学の新しいカタチ

Choice

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

名前
佐久間麗安 / Rena Sakuma
家族
4人 (12歳男の子と10歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
Bright Choice編集長
URL
Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

多様性の時代です。社会に求められる人物像も時々刻々と変わってきています。
だからこそ、どんな時代でもどんな環境でも通用する、
『普遍的な人間力』がより必要になっていきます。」

―― 『高学歴親という病』 (成田 奈緒子 著/講談社+A新書)
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年明け早々、家族旅行でドバイに行ってきました。
今回の旅の主な目的は、ドバイのとあるボーディングスクール見学。

最近、身の周りでは、「海外留学先を改めて再検討したい」という声を聞くようになりました。
これまでの海外留学先といえば、アメリカ、イギリスが主流でしたね。我が家でも、昨年秋にアメリカボーディングスクールを7校ほど見学し、そのスケールの大きさに圧倒されて帰国したところでした。

一方で、国際情勢が不安定ないま、世界的なインフレに円安、アメリカの銃撃事件に見るような治安悪化への不安から、海外留学を志向する方々の間では、アメリカやイギリスに限らず、スイス、カナダ、オーストラリアなど、検討される留学先も多様化しているように感じられます。

我が家についても、なぜ中東はドバイへ行ったのかというと、アメリカボーディングスクール見学をしてみて、「何か胸に引っ掛かるもの」があったから・・。

ひとまず、学校や教育などの話をする前に、とにかくドバイは楽しかった!!
空港に到着してすぐに感じたのは、その高揚感。
子どもたちと一緒になって、ドキドキ、ウキウキ、わくわく!
日本のバブルも経験したことのないわたしたちにとって、それは感じたこともないエネルギーでした。
"心踊らされる" とは、まさにこういうことなのでしょう。

初めてのドバイだったので、滞在中はもちろん、「世界一」を誇る観光スポットを巡りました。

初日は、およそ1,200店舗が集結する世界一大きいモール「ドバイモール」、そして、世界一の高層タワー「ブルジュ・カリファ (Burj Khalifa)」の148階へ。

ドバイモール内では特にハイブランドが人気で、中東の富裕層がプラダやグッチの買い物袋を複数抱えて意気揚々と闊歩し、草間彌生とのコラボレーションで話題のルイ・ヴィトンショップ前で長蛇の列を作っていました。その羽振りの良さを肌身で感じたのか、「す、すごいね~~!!」、と子どもたち 笑。

そして、いよいよドバイモール直結の「ブルジュ・カリファ」へ。まともに並ぶと1時間待ちのところを、時差ボケの子どもたちの体力も考えてファストパスチケットで一気に148階へ!展望デッキに出て外気に触れると、もう空中を歩いている気分になりそう。わたしたちは急成長中のドバイの街並みを見下ろしては、そのスケールの大きさに吸い込まれそうな気持ちになったのでした。

さて夕刻になったのでタワーを降りてドバイモールの外に出ると、世界一の噴水ショーの開始を待ちわびる人々でごった返していました。噴水ショーを見て思い起こしたのは、ハリウッド映画『オーシャンズ11』にも登場するホテルベラージオの噴水ショー。

15年ほど前でしょうか、わたし自身、ギャンブルとお酒三昧のラス・ベガスのベラッジオに宿泊して、あの噴水ショーを見たのは。そういえばあの時は、The Stratタワー109階にある「世界一高いフリーフォール」なるものに乗って、絶叫したのでした 笑。

それが、「お酒も賭博も禁止」のイスラム国ドバイという、ラス・ベガスとは対照的な国で、いま同じように噴水ショーを見ている不思議。

この15年で、世界の景色は大きく変わりました。
「子どもたちは新しい世界を生きている」、と感じた瞬間でした。

返す返す、ドバイという国には、「これからの生き方」を考えさせられます。

実は石油資源の少ないドバイ。その歴史を辿ると、急成長の背景にあるのは、「国際社会と上手く調和した」柔軟さと実直さを持ち合わせた国の政策のあり方でした。

不安定さを増す中東において、国際社会に向けて安心安全なフリーゾーンを解放し、多くの欧米大企業の経済拠点となり、石油に依存しない、中東の貿易・商業の最大の中心地として経済成長を遂げてきたのです。

「ドバイショック」など景気後退期があったり、低賃金労働者のボイコットによる建設計画の遅延など、所得格差の問題も内在する点では他の国と変わりません。投資家の間では、右肩上がりの不動産バブルもはじけるのではないかともいわれているようです。

それでも、外国企業を多く誘致することで経済発展を遂げ、外国人労働者が十分に働ける環境を作ってきたからでしょうか、ドバイという国は、わたしたちがこれまで訪れたどんな国よりも活気に満ち、国際色豊かで、安全な社会がありました。

驚いたのは、これだけ開けた国だというのに、日本に引けを取らない清潔さとサービスの質の高さ、そして治安の良さを実現できていること。

もはや、一国では豊かさを築くことができない今、世界は国という枠組みを超えた「多様性への対応力」を試されているといえます。コロナの流行とウクライナ戦争の影響で、経済の需給バランスは不安定さを増しています。平和で安定した国際社会の実現、地球規模の環境問題への取り組みなど、国境を越えた問題を解決するために、子どもたち世代には、個人レベルで自他ともに認め合う「協調性」という素質を持っていてほしいものです。

それが、冒頭に引用した、成田奈緒子先生のいうところの「普遍的な人間力」なのかもしれません。

かつてないほどに混沌とした世の中で、子どもたちは一体、どこでどんな教育を受けたら、「普遍的な人間力」なるものを身に付けられるのでしょうか?多様な国際社会では、一口に海外留学といっても、子どもの個性留学先によって、子どもが得られる資質は大きく変わりそうです。

さて、本題に戻って、今回学校見学したのは、ドバイの名門校 REPTON SCHOOL DUBAI。イギリスの名門校「REPTON SCHOOL UK」を母体とし、ドバイ政府による学校評価制度では、2014年以来毎年、最高評価(Outstanding)を獲得。高校では国際バカロレアの実績が高く、今後A Levelのプログラムが導入される予定です。STEAM教育はじめクリエイティブな教育に熱心で、大学進路もイギリス、アメリカカナダなどと多岐に渡ります。

スポーツも盛んなREPTON SCHOOL DUBAIで、世界的にも有名なスペインのテニスアカデミーとの提携プログラムがスタートするということで、息子はヘッドコーチによるテニスのアセスメントも受けました。テニスプログラムにおいても、バルセロナ本校よりコーチ陣を呼び寄せ、本場メソッドによる徹底指導。国際大会ITFはじめ多くの試合にチャレンジできます。息子は容赦ないスペイン式のスパルタトレーニングに、必死に取り組んでいました。

ドバイの学校教育の良さは、フランチャイズ校といえども、海外の教育メソッドを現地そのままに取り入れていること。アカデミックにしてもスポーツにしても、質の高い国際教育を実現できるのは、外国企業を多く誘致し、外国人労働者の受け入れに寛容なドバイのお国柄ゆえなのでしょう。

学校生活においても、多国籍の学生が在籍し、欧米の国で心配されるようなアジア人差別もない。アメリカ人がほとんどを占めるアメリカボーディングスクールよりも、ずっとオープンマインドな環境でした。子どもの世界観が大きく広がり、自ずと「協調性」も育まれるであろう多様な環境には、子どもの将来に別次元の可能性を感じさせられました。将来、「ドバイで起業したい」なんて言い出すかもしれない。良くも悪くも、その後子どもが歩む人生を全く「推測できない」のです。

実は、昨年10月の秋休みに、家族みんなでアメリカ東海岸のボーディングスクールのスクールツアーをしたわたしたち。いわゆるTEN SCHOOLSを複数見学してきたのですが、その教育の素晴らしさゆえに、教育格差の深刻化するアメリカ社会のリアルを垣間見たのもまた事実でした。

ますます人気のアメリカボーディングスクールには、毎年何全通もの願書が届くといいます。学生の8~9割をアメリカ人が占めますから、要はアメリカの富裕層の子どもがこぞって志願しているのでしょう。インフレも相まって、もともと高額だった学費はさらに高騰し、年間10万ドルを超える学校も珍しくありません。ボーディングスクールへの門戸は、これまでにないくらい狭き門に感じられました。

ボーディングスクールツアーでは、熾烈な競争を勝ち抜いた学生たちの中から厳選された優等生が学校を丁寧に案内してくれます。案内してくれるのは、たいてい大学受験中の高校4年生ですから、「どこの大学を志望しているの?」と聞けば、たいがいIVY LEAGUEの学校名を返してきます。とあるTEN SCHOOLSの1校で案内をしてくれた学生は、 "BROWN"と書かれたトレーナーを着ていたので一目瞭然。自身の大学キャンパスツアーの際にCOOPで購入したのでしょう。聞くまでもないと思われるわたしの面倒な質問に対し、そのトレーナーを指して、"Oh, I want to go to Brown." と、とってもナイスに答えてくれたのが印象的でした。

「各校で案内してくれた学生はみんな素晴らしかったし、どの学校も学習環境として非の打ちどころがない。この学生が念願のBrown大学に入学し、卒業した暁には、きっとGAFAなどのエリート企業に勤めて成功を収めるのだろうね・・」と、わたしたち両親はすっかり感心してしまったのでした。

一方で、何が胸に引っ掛かったのかというと、まさにそれ。
「エリート競争の先にある子どもの将来を容易に想像できてしまう」
ということでした。

それは、舞台がアメリカに変わっただけで、わたしたち親世代が歩んだ人生ではないしょうか?
これからを生きる子どもたちは、それで幸せになれるのでしょうか?

さて、話は戻って、アメリカボーディングスクールツアーを終えたわたしたちは、マンハッタンを通ってみることにしました。セントラルパークから5番街のトランプタワー方面に向かう途中、世界一の超高層マンション「スタンウェイ・タワー」が見えました。(ペントハウスの価格は100億円にも上るそう!)一方で、いまマンハッタンの街は非常に治安が悪いということで、車からは一歩も降りませんでした。現地で会った旧友によると、コロナをきっかけに通勤者が激減したことで、市街のサービス業失業者が増えたことが大きな要因のようです。2023年のアメリカは高インフレと高金利が続き、景気後退局面を迎えるという見方が大勢のようです。わたしたちが目の当たりにしたのは、子どもたちが生きるこれからのアメリカの生きづらさだったのでしょうか。

たしかに、アメリカのIVY LEAGUEはじめ海外の名門大学を目指すことや、日本で東大を目指すことは、わたしたち親世代にとっては最良の教育と考えられました。
しかし、これからを生きる子どもたちにとって「普遍的な人間力」を身に付けられることが良い教育だとすれば、それは必ずしも「学歴」や「エリート街道」によって達成できることではなさそうです。

世界的なインフレに円安、格差の拡大に過熱するエリート競争・・
わたしたち日本人にとって海外へのハードルは高まる一方ですが、それでも子どもの留学を検討するのであれば、「子ども自身が幸せを掴むことのできる海外留学先」を見つけてあげたいものです。

子どもたちが国際社会を生きぬくため、「普遍的な人間力」を身に付けられる環境は世界のどこにあるのでしょう。

変わりゆく国際情勢を紐解き、子どもの生きる未来を想像しながら、「海外留学の新しいカタチ」を見つけるには、わたしたち親が古い色眼鏡を外して、視野を広げる必要がありそうです。

子どもを幸せにするためには、わたしたち親も日々勉強。

そんなことに気づかされた、ドバイ旅行なのでした。

〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

       
  • ブルジュ・カリファとドバイモールの噴水ショー

  • ギネス記録を持つウォーターパークへ

  • 世界一になる予定のソーラーパーク

          
  • MONOPOLY DUBAI

  • REPTON SCHOOL DUBAI

  • マンハッタンのいま

  • ブルジュ・カリファ148階へ!世界一の高さに大興奮の息子は、夢中になって写メを撮っていました。その後、ドバイモールの噴水ショーも圧巻でしたが、にぎわう人々のエネルギーにも飲み込まれそうになるほどでした。

  • 世界最多数のウォータースライダーを誇るウォーターパークへ。朝から夕方まで、大満喫しました。

  • 気球に乗ってドバイの砂漠を眺めました。そのど真ん中に建設中のソーラーパークもまた、世界一の規模になるのだそう。2030年までに25%、2050年までに75%のエネルギーを太陽光などのクリーンエネルギーで賄うという「ドバイ・クリーンエネルギー戦略」の一環なのだそうです。

  • ドバイモールで購入したモノポリー。観光名所を訪れた後は特に盛り上がります。

  • 学校内は3DプリンターなどSTEAM教育の設備が充実。スポーツでも、本場スペイン式のテニスは、本気のスパルタ指導でした。

  • アッパーウェストの新興高層住宅街は圧巻。この後、スタンウェイ・タワーを眺めながら昔ながらの5番街へ。昔と変わらないように見えて、オフィスワーカーも出勤を渋るほど治安は悪化しているそう。いま、暮らしやすさを求めてテキサス州やフロリダ州に引っ越す人が増えているようです。