「食育」について考える。今改めて大切にしたい感謝の気持ち。

Choice

「わたしはわたし」自尊心を育む子育て

名前
浅倉利衣 / Rie Asakura
家族
4人 (7歳と5歳の女の子)
所在地
東京都
お仕事
ライフスタイルプロデューサー
URL
Rie Asakura (@rie_asakura) Instagram

「食べることは生きること」
「食べたものが私になる」
「食は人を良くすると書く」

食にまつわるワードって本当にたくさんあります。
それだけ「食」というのは生きる上での根本であり、永遠のテーマですよね。

今となっては、食に関わるお仕事もさせて頂いている私ですが、長女を授かる前までは、夜も出かける度によくお酒を飲んでいたし、ストレスが溜まるとお菓子の袋開けたら最後、一瞬で消える、、みたいな生活を送っていた時期もあります。体が丈夫なのもあり、過信しがちだったと思います、今思うと。でもまぁその時は楽しかったからいいんですが(笑)

でも、長女を妊娠してから、私の体は自分だけの体ではない、と自覚するようになって、そこから少しずつ、体の仕組みやセルフケア、食について勉強するようになりました。

4年前に、腸活に特化した民間のスクールで資格を取得し、約3年半、講師を務めました。そこは、日本のみならず海外の論文も参考にし、最新のエビデンスに基づいた情報や知識を提供している食のスクール。インターネットを開けばすぐになんでも調べられる便利な時代である一方で、「情報が交錯しどの情報が信憑性があり何を信じてよいのかわからない」、という悩みを持つ方が多く受講してくださいました。私自身も同じ悩みをもっていたので、スクールで学んだ知識や実践は、今でも私の土台となっています。

でも、いつからか、こう感じるようになりました。
「エビデンスだけに囚われると、自分の感覚を鈍らせるという側面もある」と。

もちろん、エビデンスが重要ではないと言っているのではなく、何にしても、どちらかに偏りすぎるのではなく、ニュートラルに、バランス感覚を持ち合わせていたいなと思うのです。
"エビデンス"の反対は"感覚"ということにすると、それこそ一人一人、直感を持っていますよね。"gut feeling"という言葉があるように、まさに"頭"ではなく、理屈はないけど何か確信があるようなものを体は教えてくれます。
そして今、奇しくも"目に見えない"新型コロナウィルスをきっかけに、目に見えないgut feelingをより大切にしていこうという動きも活発にみえます。瞑想やヨガがより注目されているのもそのあらわれかと思います。

「食」に話を戻すと、私も、食にまつわるいろんな"目に見えない"エネルギーや感覚を大切にしたいと改めて感じるようになりました。
例えば、食材を一生懸命育ててくれた人の気持ち、その食材が育った土や水・太陽などの環境、料理してくれた人の気持ち、一緒に食べる人との会話だったり共有する空間、そういったものを心と体で感じながらいただくお料理って、全く凝っていなくてもどんなにシンプルでも、とても幸せな気持ちになるような気がします。

食材や食材を取り巻く全てのものへの想いがより強くなったのは、自粛期間中に始めた家庭菜園がきっかけです。
生ゴミはコンポストし、それで出来上がった堆肥で植物や野菜を種から育て、育ったものを頂く。
家の片隅でも、その一連のサイクルを目撃していくと、自然の偉大さや農家の方々への感謝を感じずにはいられません。そして食べ物への感謝の気持ちが、「食事をありがたく最後までいただく」というような行為に自然と繋がるのだと思うし、そういう感覚的なものや体験を、子ども達と一緒に楽しんでいます。
なんだか毎回これについて語っている気もしますが(笑)

先日、東京青梅市で無農薬野菜を栽培する「Ome Farm」(注1)で、プロの堆肥作りを体験させて頂く機会があったのですが、良い土、水などの環境と作られている方々の愛情が相まって、味もめちゃくちゃ美味しいんですよ。
収穫した直後にそのままガブリと食べさせて頂いた蕪なんて、甘くて風味も豊かで、余計な味つけなんて不要なほどでした。だから残さず最後まで頂いちゃうんです。結局、本物はシンプルだということ。食品の選択に迷ったら、原材料にゴチャゴチャたくさん書いてあるものより、シンプルな方を選ぶ。でもそこにはたくさんの愛情と手間ひまがかかっている。この経験を通して、食べる時は、そういったエネルギーも一緒に頂いているんだという思いも強くなりました。健康・美容・ウェルネス・サステナブル・食育の本質が全てここにあるなと強く感じたりもしました。

栄養素などのエビデンス、もちろん大切です。時短・便利も助かる時もあります。
でも、それだけに囚われず、感覚的なものも大切にしていけたらより幸福感が増すような気がします。
「これを食べなさい」ではなく、自分で何が必要か自分で選べるように。そして、感謝の気持ちを育めるように。

それが、今、私が「食育」で大切にしたいことです。

〈浅倉利衣さん連載〉
「わたしはわたし」自尊心を育む子育て

       
  • 落ち葉にも素晴らしい役割がある。

  • 良い土と水で育った食材は、そのまま食べるのが一番贅沢。

  • 我が家の植物や野菜も元気に育っています。

          
  • 嬉しい物々交換のデリバリー。

  • 量り売りでショッピング。ゼロウェイスト且つ美味しい。

  • Ome Farmで落ち葉拾い。大量の落ち葉をひたすら集めて、それを上から踏んで量を減らして袋に詰めているところです。落ち葉には微生物が棲みつき、それが堆肥の大切な材料となる。すごいですよね自然の循環って。

  • Ome Farmで収穫後その場でガブリと食べさせて頂いた蕪です。味つけなしで、一物全体(ホールフード)で葉っぱまでバリバリ頂きました。それぐらい美味しかったです。

  • 前回の写真でご紹介した土に小松菜とサニーレタス、パクチー、ラベンダーの種を植えました。約3週間経って、パクチーとラベンダーもニョキニョキっと発芽してきました。毎日見守って、なんだか本当に子育てみたいです。家庭菜園は、「観察」という大切さを教えてくれる気がします。

  • お世話になっている方にギフトを差し上げたら、「ありがとう」と畑で育てられている旬の無農薬野菜を送ってくださいました。美味しくて健康的なだけでなく、こういったやりとりも、なんだか昔の物々交換みたいで、心も温まります。

  • 全てオーガニックの食材を量り売りで提供する「nue by 斗々屋」(注2)。瓶などを持参して、ナッツ類や塩、蜂蜜、ヴィーガンチョコレートなどをよく購入します。美味しくてゴミも減って心もスッキリ。