子どもに一番影響を与える親のあり方。「してあげる」より大切なこと

Choice

「わたしはわたし」自尊心を育む子育て

名前
浅倉利衣 / Rie Asakura
家族
4人 (8歳と5歳の女の子)
所在地
東京都
お仕事
コラムニスト
URL
Rie Asakura (@rie_asakura) Instagram

「わたしはわたし」自尊心を育む子育て
はじめはちょうど一年前。
ブライトチョイスの連載やインスタライブでいつも語ってきた、自分と深く向き合う体験。
今まで無意識に抱えていた、本来の自分ではないもの。
いつの間にか自分に覆いかぶさっていたものを、少しずつピーリングするかのように取り除いていったら、素の自分が見えてきて、外の景色もだんだん変わってきました。
特に、今後の教育・子育てについて、考え方が大きく変わったんです。

俯瞰しながら周りを見渡すと、ん?ちょっと待てよ。
「幼児早期教育」、「世界最高のなんとか」、「頭のいい子にするためのなんとか」、などなど、色々な書籍や記事があるけれど、そこに肝心の子どもはいるのか?子どもをいじくり回す大人がいるばかりにも見える。
昨年から、教育にまつわる情報のあり方がグッと気になりだしたのです。


そんなようなことをインスタライブで話し始めたら、「りえさん、はじめまして」と、DMがあちらこちらから届きました。
「今までの子育て、今後の向き合い方について、深く考えさせられました」
「りえさんのおっしゃっていたことに思い当たる節がたくさんありました」
「教育迷子になっている何人かのママ友にもライブをシェアしたら、涙が止まらなくなったそうです」
など、たくさんのコメントが寄せられたんです。(詳しくはインスタストーリーズハイライトにも残しています)。

「あー、やっぱり実はモヤモヤしている人、実際に多いんだな。」
私の勘は、だんだん確信に変わっています。
そして、「今後の教育」について私自身の感度も高くなり、多方面で新たな行動へと繋がっています。

私が一番に意識していることは、「教育、ハウツーなど、表面的にはよい選択肢がたくさんあるように見えても、子どもの『やりたい』は本当に尊重されはてるのかな」、
そして、「子どもの教育以前に、親はどうなのかな」、ということです。

ものすごい勢いで変化する時代に適応していくためにも、まずは大人である自分を見つめ直した方がよいのではないでしょうか。
過去に教えられてきたことにいったん疑問を持ち、いまの自分や家族に必要のないものは手放して、そして親もまた一緒に学び直していくことも大切ではないでしょうか。
教育について考えるとき、学校や子どもをどうこうする前に、まず「親がどうあるか」が問われると思うのです。
今回は、今取り組んでいるプロジェクトにも触れながら、そんなことを綴りたいと思います。


最近、「子どもの自己肯定感を高めるために」といった記事を目にする機会が増え、そういった質問も多く頂くようになりました。

質問されるたびに、私はいつも同じことを伝えています。
「子どもをどうするこうする前に、肝心の親である自分はどうですか?」
「ありのままの自分を、認めてますか?」
「誰かが良いといった何かの枠に無理矢理ハマろうとしたり、自分にはできないことをできるかのように振舞っていませんか?」

子育てで大切なのは、まず親自身が自分のことをきちんと理解し、まるごと受け容れることだと思うのです。
実は、それだけで立派な他者貢献。
なぜなら、そんな親のあり方を体現することで、子どもに「あなたらしく、そのまんまでいいよ」という許可を自然と与えられるからなんです。
そうすれば、誰かを攻撃したり、自己卑下する必要もなく、ただありのままで、生き生きと生きることができるのだということを、子どもに示すことができると思うんです。

だから、「子どもの自己肯定感を高める」よりも先に考えるのは、「親の自己受容」だと思います。つまり、「子どもに対して何かをしてあげる」というよりも、「自分がどうあるか」ということの方が大事。本来、すごくシンプルなことです。

でも、長年、他人の意識や、本当は自分に必要のないものを抱え込みすぎている場合、「ありのままの自分って?」ということが、感覚的にわからなくなってしまうことも多々あると思います。そんなときは、過去にも遡って細かく自己観察していく必要があります。

知らぬ間に置き去りにしてきた記憶、無視してきた感情などを俯瞰して見つめ、抱きしめ、受け容れる。
無意識に囚われてきた、本来の自分らしくないもの、いまの自分に必要のない思考パターンを取り除いていく。
自分の力で「自己"観"察」する、「"感"覚を取り戻す」、「本来の自分に"還"る」、そんな作業をする、名付けて「環」というプロジェクトを、先月、心から信頼できる・共に成長し合えると思える人と始めました。

詳しくはインスタグラムに綴っていますが、今回のプロジェクトを通して、参加者の方々の体験や変化を目にしながら、「子どもを思うなら、まず親である自分をじっくり見つめ直す・もう一度自分を育て直すことから」ということを、改めて確信する日々です。
親の意識・あり方は、子どもの意識や人格形成に一番に影響を与えるのですから。

そして、プロジェクトに対する反響が想像以上に多いことから、子育ての本質とは、よい教育・ハウツーといった表面的・視覚的に見えるものではなく、「自分がどうあるか」という見えないものに内在しているのだということを改めて実感するのです。

大人である私たちひとリひとりが、「本来のわたし」に還り、ありのままに生きる。そうすることで、子どもが自分なりに「わたし」らしく生きようとする、本来であれば自然な流れを阻害しないで済むのだと思います。
環境問題も深刻ですが、子どもにとって親が心理的な "公害" になってないか、改めて考える必要があるのです。


また、私自身が実感していることですが、ありのままで自分らしく生きられた時にはじめて、どんな人の生き方も尊重できるようになります。
それが本当の意味でのダイバーシティーだとも思うのです。
人の数だけ個性があり、それぞれ自分にとっての "普通" があるのですから。
私たち一人ひとりがそのように意識できた時に、新たな教育の場が生まれ、選択肢もまた増えていくと思っています。
私たちの生きる世界は、一人ひとりの意識によって創られているのですから。

昔々の誰かが考えた「平均」や「枠」といった古い概念に囚われる必要はもうありません。

私は引き続き「わたしのまんま」でありながら、子どもも1人の人間として尊重し、ありのままの彼らをただ見守っていけたらと思います。

〈浅倉利衣さん連載〉
「わたしはわたし」自尊心を育む子育て

       
  • 「わたしはわたし」であるために。

  • 素足で自然のエネルギーを感じてパワーをいただく。

  • 青梅ファーム(注1)の2021年CSA第一便。

          
  • パーマカルチャー真髄の体験。

  • 食べることの向こう側をこの目で見て頂く。

  • 本文中で触れたプロジェクト「環」。本来の自分に "還"る、自己 "観"察、 "感"覚を取り戻すといった意味も。ピンときて申し込んでくださった方々の気づきや変化のプロセスを見ていると、今本当に必要なことかもと改めて確信します。詳細はインスタグラムに。

  • 自然豊かな場に行った時は、素足で直接大地に触れる。寝っ転がって太陽や風、鳥のさえずりをただ感じる。なんでもないこと、でも自然本来の行為。何もせずとも、ただ気持ち良くて大好きなひととき。

  • 前回も触れたCSA。CSAとは、地域支援型農業のこと。消費者が前もって生産者に作物の購入費を支払い、毎月農家さんから直接届く。互いの信頼関係のもとに循環する作物やそれにまつわるエネルギー。今回は旬の葉物やハチミツなど。食がますます満ち足りて豊かになっているのを感じます。

  • 先日、パーマカルチャーのパイオニア的存在である四井真治さんのご自宅に伺わせて頂きました。自然の仕組みに沿った暮らし、生きる力というものを、同じMODEL FAMILYSAWAさんや子ども達と体験学習させて頂いて、本当に心地よく幸せな一日でした。

  • 四井さんのご家族である、のびのびと幸せに生きている鶏が産んだ卵を、心から感謝しながら頂く。手作りの味噌や畑で採れた旬のお野菜を入れたお味噌汁。もうこの一汁一菜で十分すぎるほどの栄養と満ち足りた感覚が、心と体へ染み渡ります。