都内のインターナショナルスクール生のリアルがわかる。「通塾スケジュール」と「両立の壁」

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都内インターナショナルスクールから広尾学園中学校へ進学⑤

名前
佐々木 正(仮名)
お仕事
広尾学園中学校(医進・サイエンスコース)学生
URL
広尾学園中学校

インターナショナルスクール生 その後の進路: 中学受験編
東京都内にあるインターナショナルスクールに通い、その後、広尾学園中学校に進学した、現在中学2年生の佐々木正くん(仮名)の中学受験体験記。今回は、受験を決意した佐々木くんの受験対策をお伝えします。

インターナショナルスクールのGrade5(日本の小学5年生)の秋に足を運んだ都内の中高一貫校の学園祭をきっかけに「中学受験にチャレンジしてみたい」との思いが芽生えた佐々木くん。親御さんも、そんな彼の思いを応援してくれたそうです。

「両親は中学受験のことを初めて話したときから一貫して『チャレンジしたいのなら、やってみなさい』と言ってくれていました。思えば、塾に通いたいと言い出したときもそうでしたし、昔から僕の思いを全面的に応援してくれる両親でした」

佐々木くんがGrade4(日本の小学4年生)の頃から通っていた塾が中学受験のための進学塾だったため、受験を決意してからも同じ塾に通い、対策を行いました。

小学校4年生にあたる年には週2回、小5で週4、小6で週5回、平日はインターナショナルスクールの後に塾に行って、国・算・理・社の4教科を勉強しました。休日には模試を受けたり、自習室に通ったりもしました」

佐々木くんが通っていた塾の生徒の大半は、日本の公立小学校に通う子どもたち。日本の学校に通った経験のない佐々木くんは、授業スタイルの違いなどにとまどうことはなかったのでしょうか。

インターナショナルスクールでは、ときには床に座り、クラスメイトたちと輪になってディスカッションをするような授業もありました。日本の塾には一方通行のイメージが強かったのですが、実際に通ってみるとそんなことはなかったですね。授業中は先生たちに何でも質問することができ、コミュニケーションも盛んでした」

塾で出会った友人たちとも交流を深め、ともに受験に挑む同志のような存在になっていったそう。塾通いを一度も苦痛に思ったことがなかったという佐々木くんですが、インターナショナルスクール生ならではの悩みもありました。

インターナショナルスクールで日々学ぶ内容が、日本の中学受験対策と一致するとは限りませんでした。たとえばインターナショナルスクールでは、学年が上がるにつれ、グループに分かれての研究発表なども多く、環境問題の動画制作のホームワークにはかなりの時間をさきました。塾通いは大好きだったのですが、塾の復習とインターナショナルスクールの宿題と、方向性の違う課題を日々両立させるのが時間的に厳しく感じたことはあります」

インターナショナルスクールと日本の小学校との長期休暇のずれなども影響を与えました。日本の学校の春休みは、3月末から4月の頭にありますが、インターナショナルスクールの春休みは3月20日前後に一週間のみで、塾の春期講習には通えなかったそうです。

一方、インターナショナルスクール夏休みは、6月中旬に始まり、日本の学校の約2倍の期間があります。夏休みが始まると、佐々木くんは昼過ぎから塾で自習をする日々を送りました。
 
「その後、公立小学校の夏休み期間に入ると、僕が通った塾では、朝8時半から授業が始まり、昼休みや自習の時間を挟みながら18時半まで授業が続きます。僕はその後も残り、毎日21時ごろまで塾で自習をしていました。塾での勉強、インターナショナルスクールの課題とハードだったので、両親は心配していたようですが、僕は塾に通うのが楽しくって。友だちや先生たちと勉強以外のことを話す時間が息抜きになっていました」

こうして忙しいながらも充実した日々を過ごし、受験へと駒を進めていった佐々木くん。次回はいよいよ受験本番のお話です。


〈連載概要〉インターナショナルスクール生 その後の進路: 中学受験編
第1回:子ども自らの意思で、都内インターナショナルスクールから広尾学園へ
第2回:国内インターナショナルスクール生の中学入試「受験方法」について
第3回:中学受験に挑むインターナショナルスクール生の「塾」と「志望校」
第4回:広尾学園中学受験に挑むきっかけとなった「塾との出会い」「学園祭」
第5回:都内のインターナショナルスクール生のリアルがわかる。「通塾スケジュール」と「両立の壁」(本記事)
第6回:中学受験を決意!インターナショナルスクールから日本の小学校に編入
第7回:受験後に感じた「インターナショナルスクールと日本の中学校の違い」
第8回:中学受験に挑んだ僕が「最も影響を受けた人」と「将来の目標」

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  • スクールフェスティバル

  • ドラマクラブに所属

  • 塾で学んだ社会のノート

          
  • 8歳の頃に参加したインターナショナルスクールで行われたスクールフェスティバルでの1枚です。生徒も父兄も一緒に参加することができるイベントで、毎年とても楽しみにしていたそうです。フェスティバルではボランティアにも積極的に参加しました。

  • インターナショナルスクールの課外活動ではドラマクラブに参加していました。ドラマクラブとは、日本の学校でいう演劇部のこと。クラブの活動を通して、人前で堂々と自分を表現することを学ぶことができたそうです。

  • 社会はもともと大好きな教科。塾での授業を通してより深く学ぶことができ、楽しかったそうです。「日本のさまざまな地域について学んだり、昔の偉人の行いを知ることができるところが興味深かったです」と佐々木くん。