感性を育てる情操教育で「個性を武器」に世界を見据える
「ピアノで学ぶ」アート教育論⑤
- 名前
- 武村 八重子
- お仕事
- ピアニスト&作曲家
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- 武村 八重子 プロフィール
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- Official Instagram(@piano_yae)
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- Otokana (武村メソッドレッスン)
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- MuTiA (武村八重子プロデュース若手演奏家育成プロジェクト)
【「子どもには憧れる力がある」ピアニスト武村八重子さんのアート教育論】
近年、ますます過熱する幼少期からの受験競争。一方で、子どもたちが勉強一辺倒になることへ懐疑的な親や、子どもの個性を伸ばす情操教育への関心も高まりをみせています。情操教育の代表格ともいえる音楽教育のなかでも、特に人気の高いピアノの習い事は、「音楽的感性を養い、楽器演奏のスキルを身に付ける」といった意義にとどまらず、目標を達成する力や、困難に直面したときの底力といった、子どもの「生きる力」を育むベースにもなるのではないか、とブライトチョイスでは考えます。
最終回の今回は、作曲やアーティスト活動のほか、未来の担い手である子どもたちへの教育にも日々、尽力されているピアニストの武村八重子さんに、その原動力と、今後の夢に関して伺っていきます。
「2005年にシャネル・ジャパンの初代アーティストに選ばれたため留学先のウィーンから帰国後、シャネル主催の音楽プログラムに参加。そして、それが終了後に所属した芸能事務所で、ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』のテーマ曲の作曲者としても知られる、ピアニストの羽田健太郎さんと出会ったのです」(武村さん、以下同)
羽田さんの「これからの時代はクラシックだけではダメ。3つの柱を持つべきだ」との言葉に共感し、「作曲すること」「話すこと」「教えること」を3つの目標に掲げた武村さんは、ラジオMCに挑戦したり、ニュース番組『みんなのニュース』のテーマソングなどを作曲。また、8年間にわたり音楽トーク番組のmcを務める活動の傍ら、「武村メソッド」を生み出し教育活動にも力を注いでいきます。
他にも音楽プロジェクト「LNoL」を結成し、m-floのVERBALや大沢伸一ら日本を代表するアーティストとコラボレーションするなど、精力的に活躍の幅を広げていった武村さん。ただ、当初は、ピアニストとして輝かしい受賞歴もあるなかで、こうしたクラシックの枠組みを超えた活動を行うことに戸惑いもあったといいます。
「最初は正直、迷いがありました。でも現実に目を向けると、クラシック業界の先細りは目に見えている。このままでは次の世代も育たないし、真剣に音楽に向き合ってきた子たちがより活躍できる業界に変えていくべきなんじゃないか、と強く感じていたのです」
「それならば、自分が先陣をきって、新しいことのチャレンジしてみよう」と決意。ピアノのレッスンも、最初はその一環だったそう。
「人に教えることで、クラシックの裾野が広がればいいな、と思って始めた活動でしたが、その過程で、日本の音楽教育に危機感を抱いたのも事実です。今の子どもたちは、小さな頃から勉強や習い事漬け。学校の成績には直結しなくとも、美しい物を見聞きし、触れることで、本物を見極める力を養う情操教育こそ、現代の日本の子どもたちには必要だと感じています」
類まれな才能を持って生まれる天才もいるけれど、「良い恩師に出会い、良い環境を与えることで、人は育つ」とも武村さんは語ります。
「良い師に恵まれ、世界基準の教育が子どもたちに浸透すれば、音楽の世界でもより多くの日本人がワールドワイドな活躍をできるはずです。また、小さな頃から本物に触れることで、センスを磨くことも大切です。『服のセンスが悪い人間は、音楽のセンスも悪い』と、恩師がよく言っていたのですが、センスを磨くことで、自分の好き嫌いがはっきりとし、個性を確立することができるのです」
「日本の子どもたちも、今後はどんどん世界に出ていくべき。私自身もそうであったように、外から自分が生まれ育った環境を客観視することで、気付かされることも多いんですよね」と、話して下さった武村さん。本物に触れ、感性を磨くことで、「人とは違った自分の個性」を認識し、それを武器に世界に飛び出していくことの大切さを教えてくれました。
「日本の子どもたちが世界に羽ばたく、その土壌作りが今の私の目標です」と、夢を語ってくれた武村さんの今後のご活躍が楽しみです。
〈連載概要〉
【「子どもには憧れる力がある」ピアニスト武村八重子さんのアート教育論】
第1回:開成中学校でも実践される「ピアノレッスン」 のメリットとは?
第2回:国際バカロレアでも必須! アート教育は「世界で活躍するための素養」
第3回:2歳半からの英才教育... 私を救った「恩師の言葉」と「母の教え」
第4回:ピアノが嫌いでもいい! 「憧れ」が最大のモチベーション
第5回:感性を育てる情操教育で「個性を武器」に 世界を見据える(本記事)
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