思春期の息子との日々。バンクーバーで知った「待つこと」の大切さ

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海外移住&教育のリアル④カナダ編

名前
福田麻琴
家族
夫(日本在住)、息子(13歳)
所在地
カナダ・バンクーバー
お仕事
スタイリスト
URL1
Instagram @makoto087
URL2
Podcast「おしゃれって何さ!?」by Makoto Fukuda

子どもの未来を想うとき、選択肢は日本国内だけにとどまりません。グローバル化が進む今、世界の教育はどのような現在地にあるのでしょうか。
本連載では、シンガポールパリマレーシアカナダなど、世界各地で子育てを経験したファミリーによる「リアルな教育事情」をバトン形式でお届けします。
学校選びのこだわりや現地に通わせて初めて見えた理想と現実、そして次なる進路への決断まで。国や文化は違えども、そこにあるのは家族が真剣に子どもの学びをデザインした等身大のストーリーです。
わが子に合う教育のカタチとは?世界を巡る家族の足跡から、これからの子育てのヒントを見つけてみてください。

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海外移住&教育のリアル④カナダ編】

【vol2: 思春期の息子との日々。バンクーバーで知った「待つこと」の大切さ】


親子留学で学んだのは、「待つこと」でした。

バンクーバーに来て、まず驚いたのは時間の流れでした。

息子は日本の小学校を卒業してすぐにカナダへ来て、9月からセカンダリースクールが始まるまでの数か月間、現地の小学校に通っていました。

現地の小学校は、基本的に親が送り迎えをします。

お迎えは午後3時半頃。

日本で暮らしていた頃の感覚では、平日の午後3時半に毎日学校へ迎えに行くなんて、仕事をしていたらなかなか難しい時間です。

それなのに、お父さんもお母さんも当たり前のように迎えに来ています。

「カナダの人たちは、一体どうやって暮らしているんだろう。」

最初はそんなことばかり考えていました。

暮らしてみて少しずつわかってきたのは、私たちとは時間の使い方そのものが違うということでした。

朝は早く始まり、そのぶん夕方には仕事を終え、家族と過ごす時間を大切にする人が多いように感じます。

もちろん、すべての家庭がそうではありません。

それでも夕方になると、公園やビーチには家族連れが自然と集まり、「仕事の後は家族の時間」という暮らし方が、この街には根付いているように思いました。

もうひとつ驚いたのは物価です。

為替の影響もあって、最初は何を見ても「高い!」と感じました。

でも暮らしてみると、時間があることで節約できることもたくさんありました。

お肉ならこのスーパー。

野菜ならあのお店。

そんなふうに何軒か回りながら、その日の特売を探して買い物をする。

東京では仕事に追われ、ネットスーパーや夜遅くまで営業しているお店を利用することも多かった私には、新鮮な暮らしでした。

暮らし方が変わると、お金の使い方も、時間の使い方も変わる。

バンクーバーでの生活は、そんな当たり前のことを改めて教えてくれました。

日本では、限られた時間の中で仕事も家事も育児もこなす毎日でした。

効率よく動くことが当たり前で、私自身も仕事に夢中になりすぎて、時間のバランスをうまく取れていなかったように思います。

だからこそ親子留学では、息子との時間を取り戻したいと思っていました。

でも、どうやら息子はそうは思っていなかったようでした。

13歳。

自称「思春期ど真ん中」。

そして私は、自称「更年期ど真ん中」。

毎日、激しくも笑える親子バトルを繰り広げています(笑)。

私は一緒にいられる時間を、とても貴重に感じています。

でも息子にしてみれば、母親がいつも近くにいるのは少々うっとうしいらしい。

この温度差ったらありません。

学校のこと。

友達のこと。

将来のこと。

聞いても返ってくるのは、「別に」「わからない」の一言。

それでも、一つだけわかってきたことがあります。

彼には、彼が話したくなるタイミングがあるということです。

だから今は、そのタイミングを歯を食いしばりながら待っています。

そして、話してくれたことを大げさに喜ばず、「へぇ」「ふぅん」と、なるべく興味がないふりをする。

......たぶん全部バレていますけど(笑)。

ある日、珍しく興味のある教科があると話してくれました。

私は思わず、

「何それ! 教えて!」

と食いついてしまいました。

すると返ってきたのは、

「まだ早い。」

理由を聞くと、

「ママはそれを調べまくって、旅とかワークショップに誘ってきそうだから。」

思わず笑ってしまいました。

あまりにも図星です。

私は息子の可能性を応援したいと思うあまり、いつも一歩先まで走ってしまう。

でも13歳には、親に話す前に、自分の中でゆっくり育てたい時間があるのでしょう。

子どもの成長には、「待つこと」が必要。

それが、この街で暮らし始めて私が教わったことでした。

もちろん、東京にいても気づけたのかもしれません。

でも時間に追われ、いつも先回りばかりしていた私は、きっと気づけなかった。

思い切って環境を変えたからこそ、息子との距離や、自分自身の向き合い方を見直す時間が持てたのだと思います。

とはいえ、せっかく時間ができたのに、当の本人からは「ちょっと距離を置いて」と言われているようなもの。

親子留学をして学んだ一番大切なことは、「もっと一緒にいること」ではなく、「必要な距離で、待つこと」だったのかもしれません。

なんとも皮肉な話だわ。


〈連載概要〉海外移住&教育のリアル
①シンガポール編
第1回: インターナショナルスクール選びのラプソディ。わが家の選択の理由 (2026.05.28)
第2回: いざ入学!子どもたちがどっぷり浸かったSASでの学校生活 (2026.06.09)
第3回: 変化を恐れず、自分らしく。シンガポールでの教育と未来へのステップ(2026.06.18)

②パリ編
第1回: 私がフランスで「インター」ならぬ「バイリンガル校」を選んだ理由(2026.07.02)
第2回: 「正解」よりも「考える力」をフランスの教育が重視する本当の理由(2026.07.09)
第3回: 海外で子育てをする私が日本語以上に娘に伝えたい「日本人らしさ」(2026.07.16)

③マレーシア編
第1回: お試し移住のつもりでスタート!親子で飛び込んだマレーシアライフ(2026.08.04)
第2回: 手探りの学校生活からHead Girlへ!どの瞬間も楽しんだ7年間 (2026.08.13)
第3回: 7年間のペナン生活を胸に。家族で踏み出す日本での新たな一歩 (2026.08.20)

④カナダ編
第1回: 「今」だからこそ決めたバンクーバー移住。手放すことで得たもの(2026.8.25)
第2回: 思春期の息子との日々。バンクーバーで知った「待つこと」の大切さ(本記事)

       
  • お決まりの通学スタイル

  • 海にはアザラシが!

  • 甘さ控えめの手作りお菓子

          
  • お気に入りのサンセット

  • 朝、学校へ向かう息子。Tシャツにスウェットが、この街の中高生の定番スタイル。大人もだいたい同じ(笑)。日本の制服姿も、少しだけ見てみたかったな。

  • バンクーバーの海では、アザラシに出会うことも珍しくありません。街にはリスもたくさん。最初は感動したのに、今ではすっかり日常の風景です。

  • 日本みたいな甘さ控えめのお菓子になかなか出会えなくて、お菓子作りを始めました。息子のお気に入りは、このベイクドチーズケーキです。

  • バンクーバーで一番好きなのは、サンセット。こんなにゆっくり空を眺める時間を持てていることが、何より幸せです。きっと東京の夕焼けもきれいだったはず。でも、あの頃は立ち止まって見る余裕がありませんでした。