「今」だからこそ決めたバンクーバー移住。手放すことで得たもの

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海外移住&教育のリアル④カナダ編

名前
福田麻琴
家族
夫(日本在住)、息子(14歳)
所在地
カナダ・バンクーバー
お仕事
スタイリスト
URL
Instagram: @makoto087

子どもの未来を想うとき、選択肢は日本国内だけにとどまりません。グローバル化が進む今、世界の教育はどのような現在地にあるのでしょうか。
本連載では、シンガポール、パリ、マレーシア、カナダなど、世界各地で子育てを経験したファミリーによる「リアルな教育事情」をバトン形式でお届けします。
学校選びのこだわりや現地に通わせて初めて見えた理想と現実、そして次なる進路への決断まで。国や文化は違えども、そこにあるのは家族が真剣に子どもの学びをデザインした等身大のストーリーです。
わが子に合う教育のカタチとは?世界を巡る家族の足跡から、これからの子育てのヒントを見つけてみてください。

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【海外移住&教育のリアル④カナダ編】
【vol.1:「今」だからこそ決めたバンクーバー移住。手放すことで得たもの】


みなさん、こんにちは。

スタイリストの福田麻琴です。

長年スタイリストとして駆け抜けてきましたが、当時12歳の息子とともに、新しい冒険の地・バンクーバーに移住し、まもなく1年半が経ちます。

さまざまな経験を経て辿り着いた「今しかない!」という我が家の決断と、暮らしの記録をお届けしたいと思います。


「どうして今なんですか?」

バンクーバーに来てから、この質問を何度も受けました。

親子留学というと、子どもが小さいうちに決断するもの、あるいはもっと若い親が挑戦するもの。そんなイメージを持つ人が多いのでしょうか。

でも、私たちには「今」が一番自然なタイミングでした。

息子は日本の小学校を卒業したばかり。

中学校へ進学する代わりに、カナダで新しい学校生活を始めることを選びました。

環境が大きく変わる節目だからこそ、新しい国でのスタートにも挑戦しやすいのではないか。そんな思いも、この決断を後押ししてくれました。

そして何より、まだ親と一緒に冒険をしてくれる年齢だったこと。

でも正直、私自身はあまり年齢を意識していませんでした。

仕事柄、私の周りにはパワフルな女性の先輩方がたくさんいます。

だから年齢を理由に、「もう遅い」と思ったことはあまりないんです。

あ、でも富士山はもう登れないかも(笑)。

振り返ってみると、私には昔から二つの夢がありました。

ひとつは、洋服の仕事をすること。

もうひとつは、海外で暮らすこと。

洋服の夢は、ある日アニエスベーの服に出会ったことで輪郭を持ちました。

「絶対に洋服の仕事をしよう。」

そう思った日のことを今でも覚えています。

そしてもうひとつの夢が、海外で暮らすことでした。

30歳の頃、私はワーキングホリデーでフランスに一年住んでいました。

言葉も文化も価値観も違う場所で暮らした経験は、今振り返っても私の人生を大きく変えた時間だったと思います。

フランスで私は、自分の「好き」を優先していい生き方を知りました。

そして、たくさんの「違い」を受け入れられるようになりました。

それは語学力やスキルよりも、私にとってずっと大きな財産です。

だからいつか、息子にもそんな経験をしてほしいと思っていました。

正確に言うと、「留学をさせてあげたい」というより、自分が人生の中でもらった大きな贈り物を、今度は息子にも渡してみたかったのだと思います。

ただ、年齢に関しては、今でも「このタイミングがベストだった」とは言い切れません。

もっと早ければ、英語にも学校にも、もっと自然に馴染めたかもしれない。

もっと遅ければ、また違う景色があったかもしれない。

でも、何事にもタイミングというものがあるのだと思います。

2年前、私が「海外に住んでみたい」と夫に話した時、夫にも同じような思いがありました。

夫も海外で新しい挑戦をしてみたいと考えていて、その思いが重なったことから、早速、私たち家族に合った方法を知るために移民コンサルタントへ相談しました。

私たち家族にはどんな方法が合っているのかを調べてもらい、その結果、夫が仕事のためのビザを取得し、家族でカナダへ来ることになりました。

今振り返ると、それが当時の私たち家族に一番合った選択だったのだと思います。

私自身も、仕事を休むという感覚ではなく、次のステージへ進むための大切なインプット期間だと思えました。

そして、子どもとこんなふうに一緒に過ごせる時間にも、きっと終わりがあります。

一緒に旅行へ行ったり、学校であったことを楽しそうに話してくれたり。

そんな何気ない日常は、永遠には続きません。

「あと何年、こうして一緒にいられるんだろう。」

そう考えたとき、私の中で答えは自然と決まりました。

「今しかない。」

とはいえ、日本を離れる時に一番手放しづらかったのは、やはり仕事でした。

長年積み上げてきたスタッフやクライアントとの関係。

これまで築いてきたキャリア。

収入や将来への不安。

もし行かない理由を探そうと思えば、100個でも200個でも見つかったと思います。

収入がなくなるから行けない。

キャリアが途切れるから行けない。

この仕事を失いたくないから行けない。

でも、できない理由を探し始めたら、人はきっとどこへも行けなくなってしまう。

だから私は、あまり考えないことにしました。

無茶苦茶ですよね(笑)。

でも、この「どうにかなるさ精神」は、フリーランスを20年以上続けてきたおかげで身についたものかもしれません。

それに私は、どこかで「手放してみたい」と思っていました。

今あるものを一度手放して、これからの人生に本当に必要なものを選び直してみたい。

そんな気持ちもあったんです。

だから決断は、意外とシンプルでした。

「ダメだったら戻ってこよう。」

そのくらいの気持ち。

失敗したっていい。

戻る場所はあるんだから。

50歳を目前にして思うのは、年齢を重ねることは、決して失うことばかりではないということです。

歳を重ねるのも、悪くないものですねぇ(笑)。

そんな気持ちで始まった、私たち親子のバンクーバー生活。

この時の私は、親子留学が息子を変えるものだと思っていました。

でも実際に変わり始めたのは、案外、私のほうだったのです。

〈連載概要〉海外移住&教育のリアル
①シンガポール編
第1回: インターナショナルスクール選びのラプソディ。わが家の選択の理由 (2026.05.28)
第2回: いざ入学!子どもたちがどっぷり浸かったSASでの学校生活 (2026.06.09)
第3回: 変化を恐れず、自分らしく。シンガポールでの教育と未来へのステップ(2026.06.18)

②パリ編
第1回: 私がフランスで「インター」ならぬ「バイリンガル校」を選んだ理由(2026.07.02)
第2回: 「正解」よりも「考える力」をフランスの教育が重視する本当の理由(2026.07.09)
第3回: 海外で子育てをする私が日本語以上に娘に伝えたい「日本人らしさ」(2026.07.16)

③マレーシア編
第1回: お試し移住のつもりでスタート!親子で飛び込んだマレーシアライフ(2026.08.04)
第2回: 手探りの学校生活からHead Girlへ!どの瞬間も楽しんだ7年間 (2026.08.13)
第3回: 7年間のペナン生活を胸に。家族で踏み出す日本での新たな一歩 (2026.08.20)

④カナダ編
第1回: 「今」だからこそ決めたバンクーバー移住。手放すことで得たもの (本記事)
第2回: 思春期の息子との日々。バンクーバーで知った「待つこと」の大切さ(2026.09.01)
第2回: 思春期の息子との日々。バンクーバーで知った「待つこと」の大切さ(2026.09.01)
第3回: 親子留学を考えているあなたへ。踏み出したからこそ見えた新しい景色(2026.9.15)

       
  • 始まりの日

  • お気に入りの旅の相棒

  • 広大なUBC

          
  • 思い出の詰まったTシャツ

  • 思春期の息子と

  • カナダ・バンクーバー国際空港(YVR)。ここから、私たち親子の新しい暮らしが始まりました。

  • いろいろ使ってきましたが、今のお気に入りは軽くて丈夫なMUJIのトランク。機内バッグは足元で自立するのが必須条件。最近の相棒はBucket Baggageのかごバッグです。

  • UBCの広大なキャンパス。学生たちの生き生きとした姿を見ていると、「私もここで青春したかったな」と、つい思ってしまいます(笑)

  • お土産屋さんで一目惚れしたバンクーバーのロンT。もうヨレヨレですが、この街の空気や光を思い出す、大切な一枚になりました。

  • 移住して間もない頃の私たち。ちょっと表情に温度差があるのも、今となってはいい思い出です(笑)。