国際バカロレアDPコース開始から3ヶ月。自身の取り組みの振り返りを紹介!

Choice

DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常

名前
木村紗羅/Sara Kimura
所在地
パリ
お仕事
International School of Paris 学生
URL
International School of Paris

DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常⑥】8月からDPコース(Diploma Programme、16歳~19歳対象)が始まって、3ヶ月が過ぎました。結論から言うと、かなりハードで、慣れるのにも時間がかかったと思います。私はつい最近になってコツがつかめてきたところなので、今回は、それを皆さんにお伝えしたいと思います。
まず、国際バカロレア MYP(Middle Years Programme、11歳~16歳対象)に比べると、なんでも優先順位を付けなければ、DPでは簡単に追い込まれてしまいます。
MYPではまだ何とか、頼まれたことでもこなせていたので、チャンスさえあれば喜んで受け入れていました。ところがDPに入ると、そのような余裕が日々なくなって行くので、膨大な課題量の中から、取り組みたいこと、取り組めないこと、頼まれたこと、などと優先順位をつけて、追い込まれる前に自分で見切りをつけるということがとても重要になってきます。「二兎を追う者は一兎をも得ず」の格言を身をもって感じました。
できること、やりたいことに集中して、体を壊すほどにならないとできないことは省いていく、ということを忘れないでいれば、DP生活も順調にスタートできると思います。

国際バカロレア DPコースの試験対策〉
また国際バカロレアDPコースでは、テストの採点基準も変わりますが、慣れないうちはとにかく成績にくよくよしないことです。覚えておくべきことは、DPで受ける授業の多くが、最終学年を卒業するおよそ1ヶ月前に受ける最終試験のための練習だということです。
私の場合、このGrade11の初日、ほとんどの教科の先生に「Paper1、2、ポートフォリオ、IA(Internal Assessment)」などと、聞いたこともないDPの課題についての説明を受けてとても焦りました。もし初日に戻れるなら、あの日の自分に「それらは2年間を通して学ぶのだから、ひとまず安心して」と伝えたいです。
とはいえ、いかにDPの課題のフォーマットを早いうちにつかめるかによって、授業の説明の理解度も大きく変わってくると思います。できれば事前にネットで「IB...(教科名)syllabus」と検索し、どのような形式で最終試験のために学んでいくのかを大まかに理解できると有利です。

国際バカロレア DPコースの必修教科〉
9教科を学んでいたMYPから、DPでは必修教科が6教科に絞られます。6教科の選択については、決まった型があるとはいえ、ほとんど自分で選べます。
まず科目は学校によってあるものとないものがそれぞれに存在しますが、国際バカロレアの基準で必須科目を選ぶ際に決められていることは、化学系(生物学・物理・科学)をひとつ、第二言語(英語以外の言語)をひとつ、社会系(経済学・地理・歴史)をひとつと英語と数学を受けること。生徒にとって嬉しいのは、最後の6教科目は自由に決められることです。私は美術を選択しました。
美術を選んだ理由は、去年、美術クラスを担当していた先生との相性がとても良く、同じ先生がDPでも担当されると知ったからです。芸術の都、パリでも、これほど丁寧に美術の魅力を教えてくださる先生は少ないに違いない。そう思ったからです。

国際バカロレア DPコース 必修教科 SL、HLの選び方〉
また、必修6教科は、 SL(Standard Level - 標準レベル)、HL(Higher Level - 上級レベル)を3つずつ受けることが必須です。私の場合は、将来の大学入試や就職に役立つかもしれないと思い、経済学、生物学、日本文学をHLで受けることにしました。
SLとHLの違いは、大まかにいうと授業時間と課題量です。やはりHLでは発展問題にも取り組まないといけないので、SLよりも週に約90分エキストラで授業を受けます。ですが、SLでも十分に期待値が高いですし、美術などは通常でも応用でもほとんど変わらない量の時間を注ぎ込まなければなりません。私は悩んだ末、SL科目を英文科、数学と美術にしました。

国際バカロレア DPコースの課題の事例〉
この3ヶ月で取り組んだ課題内容の例を挙げてみます。MYPと似ているなと思ったのが、英文科で行った、イラン革命を生き抜いた著者の自伝についての質問に答えるインクラスエッセイです。これは実際にDPの英文科の最終試験における問題形式に沿ったフォーマットで行ったのですが、およそ90分でこの著者の描く「勢力」の形がどういったものかという質問について答えました。また、経済学では、需要と供給の基礎や行動経済学の概念についてのグループプレゼンテーションを行い、グラフも添えたエッセイなども授業中の課題として書きました。
唯一、選択問題や筆記の混じった、一般的に「テスト」と呼ばれるものは、生物学の授業で行いました。しかしデータを読み解く問題(data-base questions)は、テスト中こそ易しく感じたにもかかわらず、実際にテスト用紙が返却されると、求められていることの的確さに驚かされたのを覚えています。

国際バカロレア DPコースはスピードと実行力重視〉
自分自身への気づきとしては、DPを始めてからもっとも学んだのは、何事においてもスピード感を大事にするべき、ということです。
例えば、Bright Choiceの前回の記事は、課外活動についてで、私がいかに多くの活動に取り組んでいるかについて書きました。ですが、それからわずか数週間で、ベルギーの友人たちと新たなプロジェクトを思いつき、そのことについて話し始めた翌晩にはプラットフォームを作成、今ではインスタグラムで200回近く再投稿されるような、「Social Justice(社会均等)」についてのライブトーク「Reset Revolution」を週3本アップしています。
それまでは、「下積みをしてから」「次のテストが終わったら」「あの人に聞いてから」などと、慎重に判断を下してきました。ですが、DPに入って学んだのが、判断することに時間をかけず、これはやりたい、そしてできると一瞬で判断したら、即行動に移すのが大事ということです。そうすれば早い段階で、そのアイデアは需要があるものなのかを知ることができますし、次に進めます。

国際バカロレアの課外活動を息抜きに活用〉
忙しい毎日を送っていますが、現在の息抜き法は、課外活動に取り組むことです。真面目に聞こえるかもしれませんが、実際は単に心から好きなことをCAS(Creativity, Activity, Service、創造性・活動・奉仕)にしているから叶うこと。
例えば、私は専門家や貴重な体験談をもっている人の話を聞くことと、ポスター用のグラフィックデザインを考えるのが大好きです。先ほど述べた社会均等についてのライブトークをし、それを宣伝するためのポスターを作ることは、私の一種の息抜きなのです。
また前回お話ししたヴィーガンクッキングも大好きなので、リラックスしたいときには料理を作って、その写真とレシピをインスタグラムに上げています。

もうすぐ冬休み。長い休暇に計画していることは、復習と予習をみっちり行って済ませておくことです。
国際バカロレアは、世界中の生徒が共通で行う内容が多いので、ネットで「IB...(教科名)syllabus」と検索すれば、たくさんの過去問題を見つけられるほか、国際バカロレアをうまくこなすにはどうすべきかについてなど、情報発信している先輩がたくさんいます。それらに目を通して、学校が再開したときにスムーズにいつものリズムに戻れるよう準備したいです。

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〈連載概要〉DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常
第1回: 国際バカロレアとは?日本でこれから履修を検討する子どもたちへ。
第2回: 私が国際バカロレアを選んだわけ。求められる人物像と必要な準備は?
第3回: 国際バカロレア生の1日。学習姿勢とタイムマネジメントの大切さ。
第4回: 国際バカロレア成功の鍵のひとつは、先生との良好な関係を築くこと
第5回: 国際バカロレアの課外活動って?その重要性と取り組み方のコツ
第6回: 国際バカロレアDPコース開始から3ヶ月経過。自身の取り組みを振り返って(本記事)
第7回:国際バカロレアMYPの職業体験が、将来の夢のヒントに繋がって

       
  • DPでの必須教科は6科目

  • 6つのグループ(教科)と3つの必修要件「コア」で構成

  • DPでの採点基準は?

          
  • 英語と数学は全員が履修必須。そして選択科目は、化学系(生物学・物理・科学)、英語以外の第二言語、社会系(経済学・地理・歴史)からひとつずつ選ぶ。6科目目はアート系を含む教科の中から好きなものをひとつ。

  • 6つのグループから各教科ずつ選択し、6科目を学習。必修のコア科目は、課題論文、知の理論、創造性・活動・奉仕がある。

  • 「DPのテストでの採点基準は、基本的に7点満点評価。さらに、教科やテスト方式によって10点満点、20点満点評価で点数がつけられるものも。DPに慣れるまでは、あまり点数にとらわれすぎないようにするといいと思います」