白馬インターナショナルスクールの「アウトドア活動とスポーツ」

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白馬インターナショナルスクールのサステナブル教育③

名前
草本 朋子/Tomoko Kusamoto
所在地
長野県白馬村
お仕事
白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事
URL1
Hakuba International School
URL2
Hakuba International School Facebook

白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール
地域に根付いたサステナブル教育を実践する中高一貫のボーディングスクールとして、2022年秋に開校を予定している白馬インターナショナルスクール。今回は、本校設立準備財団代表理事の草本朋子さんに、白馬インターナショナルスクールの教育の重要な柱でもあるアウトドア活動やスポーツに関して伺います。

「本校では地元の方々にも協力を仰ぎながら、アウトドア活動に力を注ぐ予定です。1年の最初にメンターグループを作り、そのグループで年間を通じてアウトドアアクティビティを行うことで、お互いを知り、関係性を深めたいと考えています」

白馬は、本格的な登山にチャレンジできる3000メートル級の山々やスキー場、ラフティングのできる川、パドルサーフィンやカヤックのできる湖など、年間を通して活動ができるフィールドに恵まれています。

「2016年から毎年行ってきたサマースクールでは、白馬村出身で、クロスカントリーのトリノ、バンクーバー、ソチ五輪日本代表の成瀬野生選手にノルディックウォーキングを教わったり、青木湖でSUPにチャレンジしたり、毎日なにかしらのアウトドア活動を取り入れ、生徒たちから好評を得てきました」

世界中から参画を予定している白馬インターナショナルスクールの教師陣たちは、数学や科学などの専門分野に加え、アウトドア教育を極めた方が多いのも特徴だそうです。

「名誉顧問に就任していただいている元サッカー日本代表監督の岡田武史さんも、『子どもたちの人格形成にアウトドア体験は必須』と、その重要性を訴えるお一人です。

岡田さんは、『都会にいると人間が万能だと錯覚してしまうけれど、大自然のなかではいかに自分が無力であるかを実感し、謙虚になれる。子どもの頃にそのことを経験するのが重要なのだ』とおっしゃっています」

サスティナビリティの重要性を生徒一人一人が実感するためにも、アウトドア活動を活発に行いたい」と、草本さんも考えているそうです。

「一昔前までは、白馬の大雪渓はアイゼンを履いて登ることができました。しかし、地球温暖化の影響から、ここ数年は雪渓が溶けてクレバスがたくさんできてしまい、危険を伴うようになっています。アウトドア活動を通して、肌でサスティナビリティの必要性を感じることも重要な学びだと思うのです」

本格的なアウトドア活動に加え、白馬インターナショナルスクールではスポーツ教育にも力を入れていく予定だそう。

「我が家の3人の子どもたちは、白馬に移住して以来、アルペンスキーやクロスカントリースキーに親しんできました。スキー大国の白馬では、日本のトッププレーヤーも身近な存在で、彼らの自己管理能力の高さや、努力を継続する力にはいつも驚かされてきました。本校の生徒がトップアスリートになる必要はありませんが、スポーツを通して得られる体験は、何にも代えがたいものがあるのです」

また、どんなに努力をしても勝てないことや、少しの差で負けてしまうこともあるのがスポーツの世界です。

「その悔しさをどう消化するのか、ライバルでもある仲間たちとの関係性をどのように構築するのかなどに関しては、本校が『PBL(課題解決型学習)』と同様、学びの重要な柱に据えたいと考えている『SEL(社会性や感情の学習)』にも通じるところがある気がしています」

「白馬というフィールドと恵まれたコーチ陣にサポートを仰ぎながら、生徒たちのアウトドア活動やスポーツをサポートしていきたい」と草本さん。次回は白馬インターナショナルスクールの学びのカリキュラムの特徴に関して紹介します。


<連載概要〉白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール
第1回:白馬インターナショナルスクールは「プロジェクト型学習」重視の学びの場
第2回:白馬インターナショナルスクールの求める学生像。募集要項と受験科目
第3回:白馬インターナショナルスクールの「アウトドア活動とスポーツ」(本記事)
第4回:「日本と欧米の融合型」白馬インターナショナルスクールのカリキュラム
第5回:「子育て移住が転機」白馬インターナショナルスクール誕生まで!
第6回:気候変動のリスクを肌身に感じる「リアルなサステナビリティ教育」
第7回:校舎なしで開校!?目指すは生徒たちと作り上げる「カーボンゼロ校舎」
第8回:海外提携にシェアオフィス!?白馬インターナショナルスクールの未来
第9回:「ボーディングスクールから世界平和へ」生徒たちに込めた願いと夢

       
  • ノルディックウォーキングにチャレンジ

  • 青木湖でラフトを楽しむ講師たち

  • 長女のアルペンスキーの大会

          
  • 本場の教員からSELの教員研修も

  • サマースクールに参加した生徒たちは、白馬村出身で3度のオリンピック経験者でもある成瀬野生選手からノルディックウォーキングを教わるという貴重な体験も。「白馬はスポーツの分野でも一流の人材の宝庫。トップアスリートからの直接指導も本校の魅力のひとつです」と草本さん。

  • フトビルディングの授業では、自分たちで作ったラフトで実際に青木湖に漕ぎ出すまでが授業の一環です。「この時は、生徒たちのものよりも先生チームが作ったラフトがもっとも頑丈にできたので、海外講師陣が“ドヤ顔”でラフトを楽しんでいました(笑)」

  • 「我が家の3人の子どもたちは白馬で育ったので、全員がアルペンスキーやクロスカントリースキーに親しんできました。両親に似ることなく、3人ともがスポーツ万能なのは、スポーツに親しみながら育った白馬での子育ての賜物でしょうね」と草本さん。

  • 白馬インターナショナルスクールではSEL(社会性や感情の学習)にも力を入れる予定だそうです。米国サンフランシスコにあるSELの先駆けとして注目を集める学校「Millennium School (ミレニアムスクール)」の教師から、オンライン研修を受ける草本さんと教員たち。