「ボーディングスクールから世界平和へ」生徒たちに込めた願いと夢
白馬インターナショナルスクールのサステナブル教育⑨
- 名前
- 草本 朋子/Tomoko Kusamoto
- 所在地
- 長野県白馬村
- お仕事
- 白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事
- URL1
- Hakuba International School
- URL2
- Hakuba International School Facebook
【白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール】
プロジェクト型学習やアウトドア活動などを通して、地域に根付いたサステナブル教育を実践する中高一貫のボーディングスクールとして、2022年の秋に開校を予定している白馬インターナショナルスクール。最終回の今回は、本校設立準備財団代表理事の草本朋子さん自身の信念や夢を伺っていきます。
「話は少しそれるのですが、2019年、私は白馬の持続可能性について考える『白馬SDGsラボ』という団体を立ち上げました。その活動に参加していた白馬高校の生徒のなかに、自発的な行動を起こすようになった3人の高校生たちがいました」
彼らは「白馬SDGsラボ」への参加をきっかけに、気候変動を止めるための行進を企画したり、白馬村の村長に「気候非常事態宣言の発令」を要望したりと、さまざまなアクションを起こすようになったそうです。
「そうやって高校生たちが立ち上がると、大人たちが声を上げる数倍ものパワーで人が動き、驚くべき速さで事態が前進したのです。白馬インターナショナルスクールの生徒たちにも、ぜひ彼らのように、『自分たちが声を上げることで社会を変えることができる』という経験をして欲しいなと思っています」
また、本校の生徒たちには、白馬で過ごす6年間のなかで「自分にとっての幸せの基準」を見つけて欲しいとも願っているそうです。
「卒業後は海外の大学に進学する子、日本の大学に進む子、アーティストを目指す子、森に入って木こりになる子......とさまざまな進路があっていいと思っています。『自分は何に幸せを感じるのか』に生徒自身が気付き、自己実現に向けたベストな進路を選択できる学校になることが私の目標です」
パワフルに、大胆に、夢を持って白馬インターナショナルスクール開校に奔走する草本さん。そこには、彼女を突き動かす、忘れることのできない「言葉」の存在があるといいます。
「本校創設の構想を練っていた頃に、軽井沢の『ISAKジャパン』の元理事で、建築家の鈴木エドワードさんをご紹介いただく機会がありました。鈴木さんは東京の『セント・メリーズ・インターナショナル・スクール』出身で、彼が学生時代を過ごした頃には、寮もあったそうなのです」
鈴木さんは「セント・メリーズ」で、さまざまな出身国の友人と同じ釜の飯を食べ、共に過ごした経験から、草本さんにこんなことを語ります。
「彼は、『そうやって青春時代を一緒に過ごした仲間の出身地を相手に、戦争をしようと思う人などいないと思いませんか?』と話してくださったのです。『世界平和への一番の近道はボーディングスクールだと信じているんです』とも......。
『だから白馬インターナショナルスクールのこともぜひ応援したい』と言ってくださった鈴木さんは、残念ながら2年前に亡くなってしまったのですが、その言葉が今も私の背中を押してくれています」
草本さんが、生徒に知って欲しいと何度も語った「自分が動けば、世界が変わる」との信念。それをまさに体現しようとしているのは、草本さん自身なのかもしれません。2022年の秋に白馬インターナショナルスクールがどのようなスタートを切り、その後どんな世界を作っていってくれるのか。今から楽しみでなりません。
〈〈連載概要〉白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール
第1回:白馬インターナショナルスクールは「プロジェクト型学習」重視の学びの場
第2回:白馬インターナショナルスクールの求める学生像。募集要項と受験科目
第3回:白馬インターナショナルスクールの「アウトドア活動とスポーツ」
第4回:「日本と欧米の融合型」白馬インターナショナルスクールのカリキュラム
第5回:「子育て移住が転機」白馬インターナショナルスクール誕生まで!
第6回:気候変動のリスクを肌身に感じる「リアルなサステナビリティ教育」
第7回:校舎なしで開校!?目指すは生徒たちと作り上げる「カーボンゼロ校舎」
第8回:海外提携にシェアオフィス!?白馬インターナショナルスクールの未来
第9回:「ボーディングスクールから世界平和へ」生徒たちに込めた願いと夢(本記事)