「日本と欧米の融合型」白馬インターナショナルスクールのカリキュラム

Choice

白馬インターナショナルスクールのサステナブル教育④

名前
草本 朋子/Tomoko Kusamoto
所在地
長野県白馬村
お仕事
白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事
URL1
Hakuba International School
URL2
Hakuba International School Facebook

白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール
全国に続々と先進的な学校が新設されるなか、雄大な北アルプスを望む長野県白馬村に2022年秋に開校予定として今、話題になっているのが白馬インターナショナルスクールです。今回は、本校設立準備財団代表理事の草本朋子さんに、白馬インターナショナルスクールの教育カリキュラムの特徴を伺います。

「本校では、欧米型のカリキュラムの良さである生徒の主体性や探求心を重要視したプログラムに、日本教育の良さを加えた独自のカリキュラムの導入を検討しています」

今ある多くの仕事が今後、AIにとって代わるとも言われている現代。草本さんは、「決まった答えや知識の暗記をメインに行ってきた旧来の日本教育で育った子どもたちは、今後、グローバル社会で通用しなくなるのでは」との危機感を抱いています。

「ただ、私は日本の教育ならではの良さもあると感じているのです。たとえば日本の文科省が定める教育カリキュラムは、しっかり履修すればほぼ誰でも相当程度の学力がつくように非常によく考えられています。OECDが実施する国際的な学習到達度調査『PISA』で、日本が今もなお上位をキープしている一因は、子どもたちの学力を平均的に高められるこの日本式カリキュラムのおかげであるとも考えられているのです」

白馬インターナショナルスクールではこの日本の教育カリキュラムをベースにした学びを、現在、模索中だそう。また「教室は生徒たち自身で清掃を行う」などといった日本的教育の良さも積極的に取り入れていきたいそうです。

「他にも、本校の指導言語は英語ですが、日本語の授業も必修科目に考えています。本校では地域をフィールドにしたプロジェクト型学習で日々の授業が展開されます。そのためには、地域の方々とのコミュニケーションが必須です。

日本語がネイティブの生徒は、そういった時間を通して日本語の能力向上に努めることができますし、それ以外の生徒たちも、せっかく6年間を白馬で過ごすわけです。卒業までには、地元の方たちとある程度のコミュニケーションがとれるよう、日本語をサポートしていきたいと考えています」

白馬インターナショナルスクールは2022年の秋のスタート当初、日本の文科省が定める一条校(※)の認定は受けていません。しかし、ゆくゆくは高校だけでも一条校を目指すつもりだと草本さんは語ります。

「一条校として認められれば、本校卒業と同時に日本の高校卒業資格が得られるため、『国際バカロレアディプロマ』の取得が難しいかもしれない生徒たちの進学先にも幅が広がります。卒業時に『国際バカロレアディプロマ』と日本の高等学校卒業資格を同時に取得できる軽井沢の『ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン』のような高校を目指していこうと考えています」

次回は白馬インターナショナルスクール創立にいたるまでの草本さんのヒストリーを紹介します。


〈連載概要〉白馬に誕生!サステナブル教育を実践するインターナショナルスクール
第1回:白馬インターナショナルスクールは「プロジェクト型学習」重視の学びの場
第2回:白馬インターナショナルスクールの求める学生像。募集要項と受験科目
第3回:白馬インターナショナルスクールの「アウトドア活動とスポーツ」
第4回:「日本と欧米の融合型」白馬インターナショナルスクールのカリキュラム(本記事)
第5回:「子育て移住が転機」白馬インターナショナルスクール誕生まで!
第6回:気候変動のリスクを肌身に感じる「リアルなサステナビリティ教育」
第7回:校舎なしで開校!?目指すは生徒たちと作り上げる「カーボンゼロ校舎」
第8回:海外提携にシェアオフィス!?白馬インターナショナルスクールの未来
第9回:「ボーディングスクールから世界平和へ」生徒たちに込めた願いと夢

       
  • 指導言語は英語

  • ミネルバ大学のインターン生の授業

  • 白馬の人たちとのコミュニケーションも

          
  • 2018年に行われた「PISA」の調査結果

  • イギリス出身のサイエンスの先生による、2020年のサマースクールでの授業風景。この日の授業ではニ風力発電機をペットボトルで製作。翌日に水力発電機に挑戦し、生徒たちは自作した水力発電機が実際に川の水流によってエネルギーを生みだすところまでを体感しました。

  • 2019年に行われたサマースクールでは、米国ミネルバ大学のインターンが講師を務めたロボティクスの授業が行われました。白馬インターナショナルスクールでは、欧米型のカリキュラムの良さである生徒の主体性や探求心を重要視したPBLメインで授業が展開されます。

  • 床に座っていらっしゃるのは、バンクーバー五輪の女子スキークロス日本代表の福島のり子さん。白馬のご実家の農家民宿で、これからの白馬や岩岳についての想いを生徒たちがインタビューした際の1枚だそうです。地域をフィールドにしたこうした授業も欠かせません。

  • 2018年に行われた「PISA」の最新調査結果によると、日本は「数学的リテラシー」で1位、「科学的リテラシー」で2位の世界トップ水準。低下が懸念されている「読解リテラシー」は11位だが、それでも世界的に見れば上位であることが分かります。※画像は「文部科学省・国立教育政策研究所」のHPより